【連載】オンナ万引きGメン日誌

【オンナ万引きGメン日誌】保安員になって早10年の私、「万引きGメンのなり方」教えます!

2018/03/31 19:00

「ステルス」の異名持つおばあちゃんGメンも

 面接から数日後、晴れて採用通知を受け取った私は、警備業法で定められた4日間の新任教育(法定研修)を受ける運びとなりました。研修初日は、挨拶の仕方や服装、入退店の方法、書類の書き方など日常業務に関することを学びます。そこで初めて、ほかのGメンさんや、指導教育責任者の資格を持つベテラン保安員の皆さんと顔を合わせましたが、ひとつ驚いたことがあります。万引きGメン=おばちゃんのイメージが強かったものの、男性の比率が意外に高かったのです。

 ベテランの方に聞けば、確かに昔は女性ばかりの業界だったけれども、昨今は外国人グループなどによる換金目的の犯行が増えるなど凶悪化しているために、男性保安員の需要が増えているとのことでした。小柄で非力な私が、そんな万引き犯を捕まえられるようになれるのかなと、不安に思ったのは言うまでもありません。でも、「ステルス」の異名(どこにいても正体がばれないという意味)を持つ腰の曲がり始めたおばあちゃんGメンや、60代半ばのパンチパーマおばちゃんも現役で活躍されていたので、少し安心したことを覚えています。

 現場における一番の注意点は、とにかくお店に溶け込むことだと、日常の心構えを教わりました。原色の服や派手な柄の服装を控え、足音のたたない靴を履いていくのはもちろん、現場となるお店の業態や地域に合わせた服装ができるようになれば一人前。目線が隠れる帽子にこだわりを持ち、変装しながら万引き犯を追う凄腕の先輩もいるので、自分のスタイルが確立した時がプロといえる時かもしれません。

 2日目以降は、刑法や刑事訴訟法など業務に関係する法律的なことをはじめ、万引きする人の見分け方や追尾方法、声のかけ方といった技術の基本、さらには警察や検察、裁判などの司法対応についてまで学びます。研修中に口を酸っぱく言われたのは、「とにかく誤認事故(無実の人に声をかけること)を起こさないように」ということでしたね。いま思えば、研修の半分くらいは、誤認事故防止に関することだった気がします。一度でも誤認事故を起こせば、保安会社としての信頼を完全に失い、すぐに契約を切られる、誤認事故は全てを壊すのだと、執拗なほど繰り返し指導され、間違いの許されない仕事であるということを植えつけられるのです。

 最終日には、みんなで会社の近所にあるスーパーに出向いて、万引きされやすい商品や犯行場所となる死角の考え方、さまざまな犯行手口を学びました。実際の追尾も経験してみて、なんとかやっていけそうだなと思ったことを覚えていますね。


こうして4日間の研修を終えた私は、保安員として現場に立てる資格を得ました。意外と簡単になれたなあというのが、正直な感想です。次回は、現場勤務の初日を振り返ってみたいと思います。

文=智美
監修=伊東ゆう

最終更新:2018/08/28 11:40
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