「声がけが耳障り」イトーヨーカドー“トンデモお客様の声”、クレーム対応のプロはどう答える?
また津田氏は、どこのスーパーでも見かける“お客様の声”の掲示に関して、「何でもかんでも載せればいいというものではない」と厳しい目を向ける。
「今回のような“理不尽な声”を、人の目に触れるところに貼るべきではなかった。お客様は神様だと思っているから、貼ってしまったのかなと思います。そもそも、お客様の声というのは、企業側が“こういった点を努力していきます”“ありがとうございます”の意味を込めて掲示するもの。一般常識から外れているものは除外するなど、マニュアルを作るべきでしょう」
確かに、スーパーなどでふと目に入った“お客様の声”が、非常識だったり悪意があったりすると、何となく嫌な気持ちになるだけに、「ほかのお客様のためにも、掲示するものは選ばなければ」と津田氏は指摘する。しかし、イトーヨーカドーが「お客様に対して、『こういうクレームが来ているんですが、どう思いますか?』と問いかけ、考えさせるために、あえて戦略的に貼ったというのであれば、いいと思いますよ」という。
津田氏自身は、「声かけが耳障り」といったお客様の声は「掲示しない」選択を取るそうだが、もし目の前で直接訴えかけられたら、どのように返すのだろうか。
「はっきりと『ご意見としてはお伺いいたしますが、多くのお客様は「声をかけてくれてうれしかった」とおっしゃられています。ご意見に対してお応えしたいのはやまやまですが、全ての人に対してきちんとお応えするのは不可能です』と言います。相手が、それ以上何か言ってきたら、組織としては、CS(顧客満足)モードからリスクマネジメントモードに意識をチェンジし、『業務妨害ですよ』と言った方がいい。ポイントとしては、相手から逃げてはダメ。ただ、1人だと怖いのでみんなで対応する、相手がこういう態度を取ったらICレコーダーでの録音を開始するなど、あらかじめマニュアルを作っておいてもいいかもしれません」