シンデレラ体重は“危険”――それでも「BMI18以下」の女性タレントが続出する実情とは?
先日、Twitter上で「BMI18」というワードがトレンドになった。いま10代後半~20代の若い女子たちの間で、肥満度を表す体格指数であるBMIにおいて、「18」を目指すダイエットがはやっており、「シンデレラ体重」なる名称もつけられているそうだ。BMI値は「体重kg÷(身長m)の2乗」で算出され、日本肥満学会による基準では、「18.5未満=低体重(やせ)」「18.5以上25未満=普通体重」「25以上=肥満」となる。
Twitter上では、シンデレラ体重を目指す女子たちに対して、「痩せすぎ」「健康に悪い」といった声が噴出している状況だが、若い女子たちがあこがれとする女性タレントたちは、皆、一般人よりも痩せている。本人公表、もしくは、ネット上でのウワサによる彼女たちの体重は、「BMI15」というケースもザラであり、「BMI18以上」を探すのが困難なほど。しかもそんな彼女たちは、「明らかに病的に痩せて見える」ワケではなく、メディアによって盛んに“美しい体形”と称賛されているだけに、若い女子たちが「それでもやっぱり目指したい」と思ってしまうのは致し方ないのかもしれない。
しかし、なぜ女性タレントたちはあれほどまでに痩せているのか。今回は、『名医の太鼓判!』(TBS系)などに出演する、産婦人科医・丸田佳奈先生に、シンデレラ体重よって起こる体の不調や、BMIとの向き合い方とともに、女性タレントの“低体重”の実情や問題点について話を聞いた。
痩せすぎは、普通の社会生活が送れなくなる
最初に、丸田先生は「シンデレラ体重」という言葉について、「元々はBMI18ではなかった」と指摘する。たかの友梨ビューティクリニックが最初にシンデレラ体重という言葉を提唱した際は、「BMI19.8」が理想とされていたそうだ。それがここ数年で、なぜか「BMI18」という、完全に“やせ”に当たる数値となってしまったという。
低体重による体の不調で最も多いのが、「月経異常。生理周期がぐちゃぐちゃになってしまう、生理が来ない、経血量が少ないなどです。それに伴って、将来的に妊娠・出産ができなくなる可能性も十分あり得ます。また、生理は女性ホルモンによって起こるのですが、人の体には、ほかにもさまざまな種類のホルモンがあり、それぞれお互いに連携をとり合っているんです。なので、女性ホルモンが乱れると、ほかのホルモンにも異常をきたすこともあります」。
「あとは骨粗しょう症。骨が弱くなります。10代の頃、骨は“伸びる”という方向で成長するため、実は中はスカスカなんです。成人になって密度もしっかりしてきて、40歳以降になると、今度は老化によって密度がだんだんスカスカになるのが普通なんですが、10代のうちに低体重になってしまうと、成人になるまでに骨がしっかり作ることができず、60代ですでにおばあちゃんのような骨になってしまうことも。また、動脈硬化のリスクが上がりますし、寿命も短くなるというデータも出ていますね」
そして、痩せすぎるのは精神面へも不調を及ぼすという。
「私は摂食障害を経験したことがきっかけで、医師の道に進みました。体重に固執すると、精神的にもおかしくなってくるんです。常に“食べたいけど我慢”ということしか考えられなくなり、エネルギーがないので、趣味や異性などへの興味もなくなります。普通の社会生活が送れなくなんですね」