小倉優子に見る、結婚や子育てにおける「完璧主義」「努力家」の脆弱さ
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の有名人>
「今日も身を削ったな」小倉優子
『今夜くらべてみました』(日本テレビ系、1月31日)
芸能人になりたい。そんな夢を抱いた人は少なからずいるだろうが、実際になれるのはごくごくわずかな人だけ。仮に芸能界に入れたとしても、今度はスターを目指しての競いが始まる。事務所は慈善事業ではないから、新人に投資した分、利益を回収しなければならない。意にそぐわない仕事やキャラでも、新人は事務所からいわれれば、受け入れざるを得ない。
ゆうこりんことタレントの小倉優子も、そんな時代を経験した1人だろう。
自分は、こりん星から、いちごの馬車でやってきた「りんごももか姫」である。小倉がそう自称しだしたとき、インパクトという意味では完璧だったが、この路線は、続かないことは明らかだった。後に小倉本人はいろいろなバラエティ番組で、「こりん星をやめたいと申し出たのに、事務所がダメと言った」と語っている。忙しさも加わり、当時のストレスは相当だったようで、『ノブナガ』(CBCテレビ)で雨上がり決死隊・宮迫博之が、「こりん星の人の楽屋から、叫び声と一緒に、壁に頭をがんがんぶつける音が聞こえた」と話していたことがある。
「今だから話せる、あの話」は一種の勲章であり、たいていの芸能人は、さほど過去の話を嫌がらないモノだが、私から見ると、小倉はこりん星時代の話を本気で嫌がっている感じがする。話題を持っている方が、オファーされる率の高いバラエティの世界で、非常に珍しいことなのではないだろうか。
小倉がイジられることを、否定的に捉えているのは、1月31日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)からも感じることができた。同番組に出演した小倉は、バラエティ番組に出た後は、「今日も身を削ったなと感じる」と、精神的に疲弊していると受け取れる発言をしていた。小倉は人に何か言われることを、「責められた」「欠点を指摘された」と感じる完璧主義的なところがあるようにも見える。
そんな小倉は、妊娠中に事務所の後輩と夫が浮気をしているという最悪の事実を、「週刊文春」(文藝春秋)で知らされたことがある。生まれてくる子どものために踏みとどまろうと思ったようだが、最終的には離婚した。離婚といえばマイナスイメージに捉えられていた時代もあったものの、今や小倉はオリコンによる「好きなママタレント」ランキング第1位に輝いた。洗剤のCMにも出演している事実が示すように、離婚は結婚と同じく単なる1つの決断であり、痛みはあったろうが、芸能人としては、飛躍したと言っていいだろう。