「アイス・バケツ・チャレンジ」の次は、セレブに「トウガラシ・チャレンジ」が流行の兆し
今回のトウガラシ・チャレンジを発案したのは、映画に出てきた料理を実際に作る動画をYouTubeに投稿して人気を集めているアンドリュー・レアだ。『ハリー・ポッター』などに登場する料理を男性っぽくアレンジしたショート動画は大好評で、彼のYouTubeチャンネル「Binging with Babish」は210万人以上の登録者数を誇る。昨年10月、この「Binging with Babish」を初期の頃から応援していたファンの1人で、ハームト・バン・ゾーストというオランダ人男性がALSで死去した。
アンドリューは11月6日、「Binging with Babish」に、「For Garmt The Hot Pepper Challenge for ALS」と題した動画を投稿。ハームトを「まだ登録者が数千人しかいない頃からのファンで、励ましてくれたり、アイデアをくれたり、元気になれる言葉をかけてくれた」「自身のブログでALSの闘病生活をユーモアを交えながら発信するような、素晴らしい男だった」と紹介し、「亡くなる直前にくれたサヨナラのメッセージでも冗談を言っていた、最後までユーモアセンスにあふれていた彼を追悼して、
ポジティブなムーブメントを起こしたい」と説明。
「めちゃくちゃ辛いものを食べる動画の投稿がはやっているから、これをアイス・バケツ・チャレンジのようにできないかと考えた」として、「ALSの苦しみを少しでも感じられるように、辛ければ辛いトウガラシを食べるほど寄付金は少なくてよい」とルールを作り、「トウガラシを食べてALS研究を支援しよう」と呼びかけた。
アンドリューは、大手クラウドファンディング「GoFundMe」にも「2万5,000ドル(約275万円)」を目標額に設定した「Hot Pepper Challenge for ALS」のページを作成。「辛くないトウガラシとして知られる緑色のアナハイムの場合は最低20ドル(約2,200円)、中くらいの辛さのハラペーニョは最低10ドル(約1,100円)、激辛のハバネロは最低5ドル(約550円)、それ以上辛いトウガラシを食べたら寄付しなくてもよい」というガイドラインと「次にチャレンジする友達を3人指名すること」と設定し、「トウガラシは自己責任のもと食べてください」という警告文も記載した。
ちなみに、彼が言う「めちゃくちゃ辛いものを食べる動画の投稿がはやっている」とは、世界で最も辛いトウガラシだとされるキャロライナ・リーパーをまぶしたトルティーヤを1枚食べる「One Chip Challenge」のこと。「平気で食べられたら神!」というノリで始まり、SNSで広まって話題に。人気ユーチューバーたちのチャレンジ動画、『エレンの部屋』の企画でチャレンジしたクリスティン・ベルとマイケル・ペーニャの映像などで一般的にも知られるようになり、NBA解説番組『Inside the NBA』でチャレンジしたシャキール・オニールの反応は格別だったと話題になった。
アンドリューは、この流行とALSへの募金を組み合わせたら「良い意味のあるものになる」「ユーモア好きだったハームトが喜びそう」だと考え、このトウガラシ・チャレンジを考案したのである。
アイス・バケツ・チャレンジ同様、トウガラシ・チャレンジもスローなスタートを切ったが、人気セレブシェフのジェフ・マウロ、人気深夜トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』の司会者ジミー・キンメルら有名人が挑戦する動画を投稿し、じわじわと話題に。『Inside the NBA』で、またもやシャキールがチャレンジし、同じく解説を務めるレジェンド選手のチャールズ・バークレーも行ったことで、大きな話題となった。
今回のケリーの動画は、すっぴん顔も手伝ってインパクト大。そのおかげでトウガラシ・チャレンジの認知度は一気にアップした。大手メディアも報じたため、今後、このチャレンジは世界中に広まるだろうと見られている。
「別に氷水なんて浴びなくてもいいじゃないか。おもしろおかしく動画を撮って不謹慎じゃないか」という否定的な意見も噴出したアイス・バケツ・チャレンジだが、米ALS協会は、アイス・バケツ・チャレンジで集まった1億1,500万ドルの寄付金のおかげで、200もの研究プロジェクトが立ち上げられ、ALS発症に関わる遺伝子が4つも発見されたと発表。チャレンジした全世界の人たちに感謝している。
トウガラシ・チャレンジも「おなかを下しそう」「見ているだけで辛い」「辛さが伝わってきて吐き気がする」など批判する声が上がっているが、寄付金が集まっているのは事実。「GoFundMe」の目標額も達成間近であり、今後、寄付金は急増するだろうと期待されている。「ただ食べるだけの『One Chip Challenge』より、はるかにマシ」と見る好意的な意見も多い。
日本の芸能人や有名人らもこぞって氷水をかぶっていたが、果たしてトウガラシ・チャレンジは、日本でもはやるのだろうか?今後の展開を見守っていきたい。