カルチャー
介護と不倫【前編】

妻・夫の介護経験者は「小室哲哉の不倫騒動」をどう見たか? 「気持ちわかる」本音を明かす

2018/01/30 21:00

 小室哲哉氏が、看護師との不倫関係を「週刊文春」(文藝春秋)にスクープされ、引退を表明した。

 妻のKEIKO氏は2011年にくも膜下出血で倒れた。“女の人”ではなく“女の子”になった妻の介護疲れから、別の女性に走ったということのようだ。当初は、「闘病中の妻を置いて不倫とは」という批判が目立った気がしたが(「文春」のスクープの意図もそこにあったのかもしれない)、会見後は“介護の大変さ”に同情する声が大きくなっているようだ。

 筆者は20年近く高齢者施設や介護に関わる家族関係について取材してきた。小室哲哉氏の会見をじっくり見てはいないが、コトの次第とKEIKO氏の病気については、おおむね理解している。でも、不倫→引退の構図だったのが、すっかり介護問題に焦点が移ってしまっていることに、うっすらとした違和感があった。芸能人の不倫話には興味はないし、不倫を弾劾するつもりもない。なのに、何だろう、この違和感……と思っていたところに、サイゾーウーマン編集部から「介護と不倫」について振られたので、ちょうどいい機会だと、介護関係者、配偶者の介護経験者に話を聞いてみることにした。

「男に走るか、宗教に走るかは紙一重」
夫を介護する松田さんの場合

 松田聡子さん(仮名・48)は、夫が脳卒中で二度倒れ、生死の境をさまよった。意識が戻った後も、KEIKO氏ほど重症ではないものの、一時は言葉を発することもできなかったという。今は仕事にも復帰したが、以前と同じような業務はできないし、会話もかみ合わない。

――あらためて、大変でしたね。

松田さん(以下、松田) はい。でも小室さんと違って、我が家には娘がいたからまだよかった。1年間は言葉が出にくい障害もあったので、ドリルをさせるなど大変でしたが、私が疲れると娘が夫の相手をしてくれていました。異性に救いを求める時間もないくらい必死でした。

――小室氏の気持ちは理解できますか?

松田 疲労困憊してしまうのはすごくわかる。ただ、小室氏はメンタルが弱いとも思います。夫が最初に倒れたとき、私は40代半ばで生理も止まってしまい、自分が女性でなくなったと思っていたのですが、もし私が異性に救いを求めていたら……その先を想像してみても、将来は何もない。私には支えてくれる娘や両親、友達、犬もいたし、何よりこれまで支えてくれた夫にお返しをしているような気持ちで介護をしてきました。それに、夫は必ずよくなると信じているんです。宗教ではないですが。

――介護疲れから、宗教に走る人の気持ちはわかりますか?

松田 わかりますね。実際、私もいろんな宗教の人に誘われました。異性から誘われたのではなく(笑)。スキがあるように見えたのかも。

――救いを求めるという点で、宗教に走るのと異性に走るのは紙一重ですかね。

松田 そうかもしれません。実は夫の姉は、自身が病気になった側なのですが、男に走った。義姉も(私の夫の病気と前後して、)脳に病気が見つかり、それで義姉夫婦は気持ちがすれ違うようになって、別の男の人のもとに行ってしまったんです。義姉は病気になってもコミュニケーションは取れていますが、メンタルを崩し、義兄も同じように精神的に不安定になったらしく、義姉にひどい言葉を浴びせてしまい、それで義姉が別の男性に走ったようです。

 私は、子育て支援の仕事をしているんですが、結局誰かに依存するのは、その人の成育歴によるところが大きいと思うんです。小室さんや義姉もそうではないかと思います。でも夫婦って不思議なもので、また元に戻ったんですよ。義兄が落ち着いたらしく、義姉に謝って関係が修復しました。

――松田さんが夫を支えて介護を乗り切れているのは、支えがあるからなんでしょうか。

松田 病気と闘っている人や家族はたくさんいます。逃げ場がないのはわかるんですが、小さくストレス発散して、上手に生きることが、結局自分のためになると思っています。

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