子育て中に生じる“焦り”の正体とは? 古泉智浩&しまおまほが語る「親」という存在
――都会では、ベビーカーを電車に乗せると、白い目で見られることもあります。どうすれば、もっと子育てしやすい社会になると思いますか?
しまお 東京のラッシュは本当にひどいですよね。私はほとんどベビーカーを使わなかったです。ずっと抱っこしていました。
古泉 うちの子も、ベビーカーに乗せると「降りるー! 抱っこしろー!」って言って全然おとなしく乗ってくれないので、ほとんど使い物にならなかったです。
しまお うちもベビーカーは1歳過ぎてから買ったんです。でも、エスカレーターに乗れないので、いちいちエレベーターを探すのが面倒に感じ、結局抱っこしていました。車があればベビーカーも楽なのかもしれないけど、ベビーカーがあるほうが、結構手間がかかるような気もします。
「ベビーカーを買わなきゃいけない」わけじゃないのに、勝手に「買わなきゃ」って思い込んでいました。出産や育児ってなった時、急にレールに乗っているんですよね。病院を選ぶ、妊娠線予防のクリームを買う、ベビーカーを選ぶ、電動自転車を買う……みたいなラインに。
――焦ってしまうということですか?
しまお そうですね。情報が過多に入ってくる。でも、そんなの本当は、まったくと言っていいほど必要なかったりする。
古泉 ぼんやりしていると、取り残されてしまう感。
しまお ネットとかで育児グッズの情報を見るより、自分の子どもを見て、自分の子どもに合わせた取捨選択をしないと、逆に窮屈なんじゃないかと思います。ベビーカーや抱っこひもも、焦って買わなくていいんじゃないかな。
古泉 僕は、講師をしている漫画教室のママ友さんに、お古のアイテムをもらいましたよ。
しまお 結構みんなくれますよね。
古泉 チャイルドシートも、中古品を5,000円くらいで買いました。全然お金をかけていません。
しまお 私も服は、ほぼ友達のお古です。周りよりちょっと出産が遅れると、お古をたくさんもらえるんですよね。お古の服だから、全然インスタ映えしない子どもですけど(笑)。
(姫野ケイ)
古泉智浩(こいずみ・ともひろ)
1969年生まれ。ヤングマガジンちばてつや賞大賞受賞。代表作『ジンバルロック』(青林工藝舎)、『ワイルド・ナイツ』(双葉社)のほか、映画化された原作漫画に『青春☆金属バット』(秋田書店)、『ライフ・イズ・デッド』(双葉社)、『死んだ目をした少年』『チェリーボーイズ』(青林工藝舎/2018年2月公開予定)がある。DVD『渚のマーメイド』原作・脚本担当。子育てエッセイ『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』(イースト・プレス)が話題を呼ぶ。Vコミで『漫画 うちの子になりなよ』連載中。
・ブログ:古泉智浩の『オレは童貞じゃねぇ!!』
しまおまほ(しまお・まほ)
1978年10月東京・御茶ノ水生まれ。多摩美術大学芸術学科卒業。97年、『女子高生ゴリコ』(扶桑社)でデビュー。ファッション誌やカルチャー誌に漫画やエッセイを発表。著書に『ガールフレンド』(スペースシャワーネットワーク)、『ぼんやり小町』(ソニー・マガジンズ)、『しまおまほのひとりオリーブ調査隊』(プチグラパブリッシング)、『まほちゃんの家』(WAVE出版)、『漫画真帆ちゃん』(KKベストセラーズ)など。