役所広司主演『陸王』20%超で、池井戸作品の争奪戦激化も……“門前払い”のテレビ局とは?
役所広司が主演したTBS日曜劇場枠の『陸王』(日曜午後9時~)最終回(第10話)が12月24日、25分拡大で放送され、視聴率は20.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と初の大台超えを成し遂げ、有終の美を飾った。
初回は14.7%でスタートし、以後14~16%と安定した数字で推移し、第8話では自己最高の17.5%をマーク。第9話は15.7%と伸び悩んだが、最終回では一気に大台突破を果たした。今年放送された民放連ドラの中で20%を超えたのは、米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)を除けば、初の快挙となった。全話平均は16.0%で、今年1月期に同枠でオンエアされた、木村拓哉主演『A LIFE~愛しき人~』の全話平均14.6%をも上回ったのは、大いに評価されそうだ。
同作の主人公・宮沢紘一(役所)は、老舗足袋業者・こはぜ屋の四代目社長。年々先細る足袋の需要から資金繰りに悩んだ末、これまで培った技術が生かせるランニングシューズ「陸王」の開発を始める。
最終回では、フェリックスの御園丈治社長(松岡修造)が、業務提携を前提に、「5年での返済」という厳しい条件のもと3億円の融資をこはぜ屋に提案。一方、豊橋国際マラソンで、こはぜ屋が応援するランナーの茂木裕人(竹内涼真)は、サポート受けるアトランティスのシューズではなく、陸王を履いて臨み、ライバルの手塚直之(佐野岳)を破って勝利する。優勝インタビューで、「陸王を作ってくれた、こはぜ屋さんのおかげ」と発言したことで、陸王は大ヒット商品となり、工場、従業員を増やすほど業績がアップした。エンディングは、宮沢の息子・大地(山崎賢人)が、あこがれだったメトロ電業の内定を断って、こはぜ屋で働きたい意向を伝えるも、父はメトロ電業に就職することを勧めるという感動のシーンだった。
『陸王』は、人気作家・池井戸潤氏の作品が原作。同氏の作品は近年次々にドラマ化され、TBS系『半沢直樹』(2013年/堺雅人主演)以降、ことごとくヒットしてきた。『陸王』も、TBS系『下町ロケット』(15年/阿部寛主演)の平均18.5%にこそ及ばなかったものの、高視聴率を獲得したことにより、テレビ業界では池井戸氏の作品を巡って、これまで以上のさらなる争奪戦が勃発するのは間違いなさそうだ。
「争奪戦といっても、これまでの実績からして、TBSとWOWOWが原作を手にする可能性が高い。ただ、『花咲舞が黙ってない』シリーズ(14、15年/杏主演)を放送した日本テレビ、『民王』(15年/遠藤憲一、菅田将暉主演)をオンエアしたテレビ朝日も黙っていないでしょう。しかし、フジテレビは、『ようこそ、わが家へ』(15年/嵐・相葉雅紀主演)で、主人公を変えた上、設定や登場人物などを原作とは大きく変えて、池井戸氏を怒らせた“前科”があるだけに、門前払いでしょうね」(テレビ誌関係者)
お茶の間のドラマファンとしては、有料BSチャンネルのWOWOWより、地上波での放送が望ましいところ。むろん、空前のヒットとなった『半沢直樹』の続編が実現すれば、願ったりかなったりなのだろうが……。
(田中七男)