妊娠したら仕事がなくなる!? テレビ業界で働く“女性放送作家”の悲喜こもごも座談会
――なるほど。では、復帰してから作りたい番組はありますか?
B そうですね、私は音楽が大好きなので、もっと音楽にかかわりたいです。まだあまりテレビには露出していないけど面白いバンド、かっこいいバンド、世の中にはいっぱいいるんです。そういう埋もれているアーティストさんたちが活躍できるようなものを作りたいですね。
A 私は女の人が見てためになる番組かな。男性が不快にならない程度に女性寄りにして、リアルな女性の本音だとか、情報を伝えたいですね。結婚、妊娠、出産だってテレビではあまりやらないから情報が少ないですし。「この情報、早く知ってたら……」って何度も思うことがありましたから。
B それはたっくさんありますね!
A 男性はちゃんとした性の知識を持ってる人が意外に少ないから、そういう人にも教えられるような番組になれば理想的です。
B そうそう。子どもを作ることだって「常にできる」「ヤレばできる」と思ってる人がいっぱいいますもん。出産が大変っていうのは認識してるかもしれないけど、その前の妊活も、実際に妊娠してからもどれだけ大変か、もっと世に広まればいいですね。
C 私は復帰ではなく、まさにこれから頑張らなきゃいけない立場ですが、Eテレのような、クリエイティブでためになる番組に携わりたいです。ぼーっと見てられる番組じゃなく、脳が揺り動かされるような! 自分の脳でしっかりと考えなきゃいけないものを作りたいです。
A いいですね! 子どもに安心して見せられる、むしろ見せたい番組をぜひ作ってほしいです。
――テレビ業界は昔から人気の職業ですが、業界や放送作家を志す女性に伝えたいことはありますか?
A まだまだ男性社会ですから、Cさんが受けたようなセクハラだとかモラハラだとかは、正直どうしてもあると思います。でも、最初にも少し言いましたが、30を超えると言われなくなりますよ! あと、業界にもちゃんとしていらっしゃる男性はたくさんいるので、あまり幻滅しないでくださいね(笑)。
C ちゃんとした男性、いるんですね。その言葉で少し安心しました。
B いますいます! 人間的に尊敬できる方、たっくさんいます。Cさんもこれから作家を続けていけば出会うと思いますよ。
C そう信じたいです(笑)。えっと、私はアドバイスなんて言える立場ではないのですが……。どんなハラスメントでも、耐えるだけが道じゃないはずだ、と思っています。作家に限らずどの職業でも、「この一本道しかない」ってことは少なくて、遠回りでも裏道でも、探せば道はそこだけじゃないはずです。放送作家になる道は本当に人それぞれなので、自分に合った道を見つけて頑張ってほしいです。
B 私のアドバイスは放送作家を目指す女性だけにじゃなく、出産を考える全ての女性に、という勢いなんですが、産みたいと思うときのために婦人科の検診など、今からできることは是非とも受けてください。私がそうだったのですが、「まだ若いし35歳くらいになったら考えればいいいや」なんて思っているうちに歳をとって、必死に妊活するようになってから初めて「早く行動していれば……」と後悔しました。。この仕事はいろいろな人と出会えて、毎日が新鮮で刺激的です。だからこそあっという間に時間が過ぎるので、プライベートをおろそかにするとどんどんツケが回ってきますよ。気を付けてくださいね!
――ありがとうございました!
(文:ヨコシマリンコ)