妊娠したら仕事がなくなる!? テレビ業界で働く“女性放送作家”の悲喜こもごも座談会
前編では、業界人のセクハラ問題から始まって、枕営業、風俗、合コン、年収など下世話な話盛りだくさんでお送りしました! 後編では女性ならではの悩み、“妊娠・出産”を経てママ放送作家となる決意や、そのために苦労したことなど……よりリアルな女性放送作家の実情をお送りします。
<座談会出席者>
A:制作会社勤務ののち、独立してフリーランスに。30代、1児の母。
B:出席者の中で唯一の事務所所属作家。現在妊娠中の30代。
C:広告会社のライターを経て業界に入りまだ1年目。20代の新参者。
妊娠したら……「番組にはもういらない」?
――先ほどAさん、Bさんから子どもに関するお話が出ましたが、“ママタレント”“ママモデル”などと違って“ママ放送作家”さんは、業界内でかなり少ないのでは?
A そうかもしれないですね。正直、この業界って結婚している女性自体少ないので、結婚報告も妊娠報告もすごくしづらかったです。妊娠報告はギリギリまでしなかったな。変に気を使われるのも嫌でしたし。
B わかります! いまだに妊娠報告をできてない方が、私も多いです。だって今後、しばらくは遅い時間の会議や急な仕事なんかには対応できなくなるかもしれない。それで「じゃあもう君はいらない」って言われるのが怖いんです。
A フリーランスは一般企業と違って産休の制度なんてもちろんないですしね。覚悟を決めて一度仕事をリセットだ! ってくらいの気持ちがないと産めないかもしれません。
――妊娠・出産によって自分の積み上げてきたキャリアが0になってしまうかもしれないという不安がありながらも、ママになろうと決意したんですね。やはり産む前に不安はありましたか?
A 私の場合は、うれしさと同時にやっぱり「仕事どうしよう……なくなっちゃうかも」って、最初はそればっかり考えていました。「この子のせいで仕事がなくなった、なんて思って愛せなかったら……」ってところまで悩んで。でも、産んでみたらもう本当に本当に可愛いです。そんな感情は吹き飛びましたね。
B 私は、年齢的にそろそろ産んでおかないとまずい……となってから、妊活してできた子なので、待望でした。不安はまだまだたくさんありますけど、それこそAさんがおっしゃったように「一度仕事をリセット」でも構わない! また一からがんばっていこう! っていう気持ちでいます。
C はぁ……そうなんですね。恥ずかしながら、まだまだ先のことだなってのんきに考えていて、そこまで考えたことなかったです。こういうお話、すごく勉強になります。
――妊娠(出産)して、実際にお仕事は減りましたか?
A いくつかは「お疲れさまでした」って言われちゃいましたね。
C えっ。そんな感じでやんわり言ってくるんですか……?
A そうなんですよ! 「番組降りてください」とは言われなくて、「妊娠おめでとうございます~。しばらくゆっくりしてくださいね~」みたいな感じ(笑)。
B ハッキリ言われないのがむしろ怖いっ! まぁ、毎回取材に行って走り回らなきゃいけないようなお仕事は、どっちにしろ続けられないし、しょうがないですよね。台本だけ書けばOKみたいなのなら続けられるけど。
A そうですね。だから、せめて残ってる仕事は最後までやらなきゃって、ギリギリまで仕事してました。
C どのくらいギリギリまでしてらしたんですか?
A えーっと、私は里帰り出産だったんです。帰省の飛行機に乗るために、病院の診断書をもらいに行ったらお医者さんにメチャメチャ怒られたくらいまで、仕事してました。「いつまで仕事する気なの! 早く帰りなさい!」って(笑)。それでも仕事の都合上どうしても帰省が1日遅くなってしまって、航空会社に連絡したら「もう一度診断書を取り直してください」って言われて。もうお医者さんに怒られたくなくて、あきらめて新幹線で帰りましたよ(笑)。おなかの子にとって、いいママではなかったなって、今になって反省中です。ほんと、無事に産まれたからよかったですけどね。本来は無理をしちゃいけない時期だし。
B 私はいつまでできるんだろうな~。なんとなく予想で、出産後も続けさせてもらえるんだろうなってお仕事はいくつかありますけど、それ以外は厳しいかも。復帰だって、すぐにとはいかなそう。
A 私は「出産したらすぐに復帰します!」って触れ回っていましたけど、現実はそうはいかなくて、やっぱりかなりしんどかったですね。体調的な面もそうですけど、子どもがあまりに可愛いから、離れたくなくて大変(笑)。