サイゾーウーマンカルチャースポットアルコール依存症の父への殺意と罪悪感 カルチャー イベントレポート 「アルコール依存症の父に早く死んでほしい」地獄を見た家族が抱く、「殺せない」現実と罪悪感 2017/11/26 17:00 スポット 家族が嫌な思いをしていたら、治療を 『酔うと化け物になる父がつらい』(秋田書店) 休憩を挟んで、第二部は来場者のアンケートに著者が答えた。寄せられたのは主に、家族の飲酒に関する切実な悩み。一つひとつ丁寧に、真摯に、時に笑いを交えて答えていく。 「父がアルコール依存症で、早く死んでほしいと思ってしまう」という悩みに対して、菊池さんは「父に対して私もそうだった。もちろん殺すことはできないので、どこか出先で、事故で死んでくれたらと思っていた。この人の介護だけは絶対にしたくなかった」と、共感と共に赤裸々な思いを語り、相談者の罪悪感を取り払う。 また、「息子が酔うと化け物になるが、特に飲まないでもいられる時もあるようだ。これはどう考えればいいのか」という母親には、「家族が嫌な思いをしていれば、もうそれは治療を始めていい」という医師の言葉を引いて、「依存症からの離脱に希望を持ってほしい」と勇気づける。 「『地獄を見たければ依存症の家族になれ、天国を見たければ依存から回復した人の家族になれ』という言葉があります。アルコール依存症から回復できるのは2%と言われますが、でもゼロじゃないんですよね」 アルコール依存症の家族がいることは“地獄”かもしれないが、今回のように、同じ悩みを持つ者同士が語り合うことで、一筋の光を期待する気持ちを抱けるのかもしれない。約2時間のトークイベントは、終始真剣な空気だった。 前のページ12 最終更新:2017/11/26 17:00 Amazon 酔うと化け物になる父がつらい アルコール依存症だけでなく、家族に苦しんでる人には必読の1冊 関連記事 「話が通じない男」はなぜ生まれるのか? 男女の“コミュニケーション不全問題”を紐解く月20日働いて東京の半額程度 華やかさとはほど遠い「地方キャバ嬢」の厳しい生活「なぜ不倫をしないのか?」上野千鶴子が指摘する、“理想の結婚”がはらむ矛盾点「手を握られると安心するの」 ホストにハマるおばあちゃんたちの実態「家族に強いあこがれがあった」植本一子が語る、かなわなかった理想と自分なりの家族像 次の記事 『陸王』リトグリのBGMが不評 >