青学ミスコン・井口綾子さんの“自作自演”疑惑、臨床心理士が語る「可愛さだけが武器」の陥る闇
自作自演疑惑による炎上は、井口さんに限ったことではなく、これまでに何度となくネット上を騒がせてきた。バレたら大変な目に遭う――そんなリスクをものともせず、自作自演を行ってしまう心理とは、果たしてどういったものなのか。神奈川大学心理相談センター所長、人間科学部教授である臨床心理士の杉山崇氏は次のように語る。
「人はパソコンやスマホに向かい合っている間、ネットにおいて“自分が支配者”のような気になってしまう傾向があります。ネット上でどんな知識でも得ることができ、SNSなどで発信もできるようになった現在、自尊心が高まり、『自分にはいろいろなことができる』『自分の思い通りになる』という錯覚に陥ってしまうんです。その表出の仕方は人によって違うんですが、井口さんに浮上している自作自演疑惑のケースでは、『みんなの気持ちを操作したい』『ネットの意見を煽動したい』といった方向に出たのではないかと思います」
ネット上で、周囲に対する気遣いのない攻撃的なコメントを目にする機会は少なくない。こういった事象は、「『自尊心が暴走する』といわれ、ネットを使っていると陥りやすいとされているんです」(杉山氏)という。
では、こういった心理に陥りやすい人にはどのような特徴があるのだろうか。
「普段何かしらの空虚な感じといいますか、満たされていない部分を抱えている人です。彼女の自作自演疑惑が事実だとすれば、ミスコン出場者となって、みんなにチヤホヤされる一方で、どこか空虚な気持ちを持て余していたのではないでしょうか。もしかしたら、『可愛さだけが武器』『飽きられてしまったら終わり』といった虚しさもあったのかもしれませんね。ミスコンに出場してチヤホヤされることで、空虚な気持ちが埋まったかのように見えて、実はその基盤はもろかったということに気づき、みんなを煽動して、ポジティブな気持ちになることで、それを強化しようと自作自演に走った……ということも考えられます」
しかし、こういった心の空虚感は、限られた人だけでなく、ほとんどの人が抱えているといっても過言ではない。杉山氏は、「確かに誰もが持っている気持ち」とした上で、「ただそれを埋めるものがあるんですよ」と語る。
「恋をするとか、いい仲間を持つとか、生きがいを見つけるだとか、仕事に没頭するとか。裏切られない空虚感を埋めるものをしっかり持っている人であれば、割と悩まされることはないんですけど、タレントのように自身の地位が揺らぎがちな人や、『きれい・かわいい』でチヤホヤされる人は、もてはやされなくなったら終わりですから、そういった怖さをどこかで抱えていたのかなと思いますね。井口さんはある意味、気の毒だったのかなとも感じます」
今回の騒動に関して、「何かにのめり込むこと、何かに酔いしれることで、我々は空虚感から救われるわけなんですが、その対象が確実なものか、壊れやすいものかを見極めるべきと感じました」と結論付けた杉山氏。真偽はともかく井口さんに巻き起こった自作自演疑惑は、ネットを使う者であれば、誰しもが陥ってしまう可能性のある落とし穴なのかもしれない。