会社を辞めて旅に出た夫と離婚、でも「娘から父親を奪う権利はない」と葛藤するが……
20世紀が終わるころ、次女が誕生する。その直後、関係は破綻してしまう。
「別れ話を切り出したのは、次女が生まれてからです。ある時、『離婚しましょう』って、ケンカした勢いで言ってしまいました。彼は、私が言いだしたら聞かないタチだってことも知っていたので、反対はしませんでした。『子どもを引き取って実家へ戻る』とは言われましたけど、結局は夫だけが家から出て行きました」
養育費や面会などの取り決めはしたのだろうか?
「私の都合で別れてもらったという形なので、慰謝料はなし。養育費もなしということにしました。面会の回数とかは特に決めませんでしたが、会わせないという気持ちもなかった。というか、私が娘たちから父親を奪う権利なんかないじゃないですか。だから別れた直後も、かなり頻繁に会わせてました」
どのぐらいの頻度で会わせていたんですか?
「少なくとも月に数回。Bが2人をあちこちに連れて行ってくれたり、私が映画を見たいときに預かってもらったり。あとは一緒にクリスマス会をやったり、お誕生日会をやったりしてました。正月とかお盆とか、娘2人を関西に連れて行ってくれたので、その間、私は息抜きができました。あれは助かった」
Bさんと別れてしばらくした後、星野さんは4歳と1歳の娘2人を保育園に預けて、仕事に出るようになった。一方、Bさんはその後どうしているのか? 2人の関係は、どうなったのだろうか?
「彼が毎月、貯蓄に回していた分は、離婚後、まるまる自分の小遣いとして使ってるみたいです。海外旅行に行ったり車を買ったりしてましたから。それを聞くにつけ、『なんだよ自分だけ』って、だんだんムカムカしてきちゃって。別れて2年後ぐらいにお願いして、それ以降、養育費として月5万円ずつもらうようになりました。彼の仕事? 私の親族が経営している会社に、今も真面目に通ってますよ」
面会時の様子からして、星野さんとの仲は離婚後も比較的良好だということは察したが、まさか今も親族の会社で働いているとは……。
「勢いで別れちゃったけど、別れる必要はなかったなあ」
星野さんはBさんとの関係を後悔しながら、そう言った。
(後編へ続く)