コラム
【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

会社を辞めて旅に出た夫と離婚、でも「娘から父親を奪う権利はない」と葛藤するが……

2017/11/14 15:00

 星野さんは数年後、サラリーマンである年下のBさんと結婚する。

「自由人ばかりの旅仲間の中で、Bは数少ないサラリーマン。一緒にいて楽だし、何より収入が安定しているというのが魅力でした。ぶっちゃけ嫌いなところはなかったんですが、すごい好きという感じでもなかった」

 Bさんとの結婚生活は、どうだったのか?

「結婚した96年のうちに妊娠、そして翌97年の香港返還の日あたりに長女を産みました。当時、Bはサラリーマンで私は主婦と、役割分担がしっかりあったので、Bに家事や育児を求めてなかった。それは当たり前だと思ってたし、むしろさせちゃダメだと思ってました。やってくれたこともあったけど、お手伝いレベルでしたよ」

 では、Bさんが生活費をまかなっていたということだろうか?

「Bの収入のうち5万円を彼のお小遣いとして手元に置いて、残りは彼の口座に毎月貯蓄していました。私は不動産の収入が月に十数万あって、そちらを月々の生活費に回していたんです。だから生活費は私が全部出してました。不公平じゃないかって? そうやってやりくりして、彼の収入の大半が資産としてたまっていったので、私的にはそれでOKでした。実際、そのお金は一戸建てを買う資金に回してくれましたし」

 家事や育児は星野さん。生活費も星野さん。そこまで許せてるのに、その後離婚。いったいBさんのどこが気に入らなかったのだろうか?

「一緒に暮らしてて、『なんだか冷たいな』って思うようになったんです。実際、遊び友達の方が優しいし、気を使ってくれた。『なのにBは、なぜこんなに私に冷たくて無関心なんだろう?』って。

 その後、安定収入が突然なくなったことに、なにより腹が立ちました。Bはサラリーマンを辞めて、ヨーロッパへ1人で出かけちゃったんです。しかも彼、帰ってきた後、よりによって、私の親族がやってる同業の会社に転職したんです。彼からすれば、旅に出る前から当て込んでたんでしょうけど、決まったときは嫌だったなあ」

 失礼ですけど、離婚するほどではないんじゃないですか?

「ほかにもありますよ。正月にBが『中国に鉄道の写真を撮りに行く』というので、その間、関西にある彼の実家に孫を見せに行ったんです。すると、義母に面と向かって『あんた肥えてる』と言われて、嫌がらせをされました。娘の世話をするために席を外して戻ってきたら、食事を片づけられていたり、私にだけ鍋の肉が入ってなかったり。確かに私、そのとき今よりぽっちゃりしてましたよ。だけど、あんまりじゃないですか。それで、そのことを帰国したBに伝えたら、『気のせいだよ』ってひとこと言われただけで、なんの同情もされなかった。私、それで心が折れました。基本、嫌いなところがない分、そういった何げない発言が、すごく心に響いちゃったんです」

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