「家族と絶縁、友達もおらず、ガンも」46歳女性の“7年片思い”にプウ美ねえさんが思うこと
家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。
【今回のお悩み】
「ただ好きと思う初めての人なんです」
プウ美ねえさん、こんにちは。ずっと1人の男性に片思いしています。大体7年目くらいです。この年齢で7年って、もうとんでもない大失敗をしていることは、自分でもわかって……はいるつもりです。でも本当にはわかっていないのかもしれません。
友達もほぼおらず(知人はいます)、仕事以外ではほとんど1人で生きてきました。家族とは絶縁状態で、仕事も派遣だし(大きい企業に長期で就業しているので、派遣にしては安定しています)、2年前にはガンになりました(無事に回復しています)。とにかく完全なひとりぼっちですが、それをなんとかしたいから好きなのではなく、「ただ好き」と思う初めての人が彼なのです。
若い頃は散々だらしなくやりまくり、三十代半ばからいろいろ懲りて何もなく……。40近くして訪れた初恋に舞い上がった私は、本当にイタいこと(長文メールとか、あと恥ずかしくて言えません)をしまくり、年上の独身である彼は、かなり引いたでしょうし、たしなめられたこともあります。欧米だったら「精神的苦痛」とかで訴えられていたと思うくらいのことをしたのに、周囲にばらさず、適当に手を出すとかもしなかった彼は、本当にいい人だと思います。ただ、彼からとても期待してしまう言動が数回あったのも事実で、そこにすがって希望を捨てきれない自分がいるのです。(ひなたさん、46歳)
【プウ美ねえさんの回答】
ご快癒おめでとうございます。どんな年齢であろうと、7年もだれかを好きでいられるのは人生の大成功です。失敗なんかではありません。この世でいちばん不幸なことはなにか知っていますか? だれからも好かれないことではありません。だれも好きになれないことです。だれかを好きになる気持ちは人を成長させ、豊かにします。あなたは何かのゴールに辿りつきたくてじれているようですが、おねえさんからみれば、あなたはいまこそ恋愛のただなかにいるのですよ。
人はわがままで、せっかく好き同士たしかめあった関係を、ここが合わないあそこが嫌いだとケチをつけ、あまつさえ他の人を好きになって投げ出したりします。この世でふたり、奇跡的に愛しあえたことへの感謝をわすれてしまうのです。セックスによる絶頂や、相手を束縛して支配すること、経済的に依存したりすること、そういう「ゴール」だけに満足して感謝をわすれると、愛は消えるのです。
なぜ恋愛ドラマや、少女漫画が「好き」の瞬間を大切にするかというと、多くの人がその甘やかな気持ちに憧れているからなんですよ。愛情を雑にして、飽きてしまって、やれ3Pだ、野外お見せファックだ、はたまた相手への支配欲がたかまりすぎて、ころして解体して食べてしまおうなんていう少女漫画は、あまりないものです。思いやりを欠いた欲望は、けっきょく空しいものだと、本当は皆知っているのです。あなたの長文メールの内容がどんなものか、しかとわかりませんが(「ころして食べたい」ではないことを祈ります)、それを無視したり嫌悪するのでなく「たしなめる」彼の態度なんて、ちょっと大人で心の広い、少女漫画のいい男そのものではないですか。
【今月のエプロンメモ】
あなたは純粋な「好き」を7年も楽しめていらっしゃる。そして彼にもっと好いてもらいたいという希望すら持てています。しあわせなことです。彼が好きなら、彼が引かずに振り向いてくれるような、もっとすてきなあなたになってごらんなさい。それが、愛が人を成長させるということです。
熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『本日もおひとりホモ。中年マンガ家生活』(ぶんか社)、『世界一周ホモのたび 狂』(同)、『TOKYO中年駄ホモ生活』(同)など。
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