【連載】プウ美ねえさんのエプロンメモ

「若い男を恋愛対象にするのをやめたい」プウ美姐さんが“オバさん”に伝えたい、「のんけ」の不自由さ

2017/01/22 16:00
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(C)熊田プウ助

家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。

【今回のお悩み】
「王子様を待ってるうちにババアになってしまった」

 40代のオタクが10代の処女を恋愛対象にするのって、気持ち悪いです。なんで自分の分をわきまえないんだろうって思います。でも、最近気付いたのですが、若い男から見ると、自分も気持ち悪いオバさんなんですね。「馬子さん、この人どう?」ってオッサンを勧められると傷付きます。王子様を待っているうちにババアになってしまった。若い男を恋愛対象として見ることをやめたいですが、心が若い頃で止まっているのに、一足跳びで枯れるのは難しいです。どうすればいいでしょうか?(馬子さん、37歳)

【プウ美ねえさんの回答】
 いったい、のんけの皆さんは誰のために恋をしてるんだろう、とおねえさんはよく考えます。性格とかお金とか、相手選びの基準はいろいろありますでしょうが、それとは別に、なにか大きな「にほんじんのへいきんてきな趣味」に沿うよう努力させられている気がしてなりません。男の子は小さい頃から近所の悪いお兄さんにエロ本をみせられ「このナオン、こましてぇだろ」とすり込まれます。女の子は隣りのオシャレなおねえさんに「あの映画スタァ、イカすわ」と聞かされて同じように憧れます。そのあいだ、レズの子ホモの子は誰とも恋の話を共有せずに、駄菓子屋のおくさんに惚れたり、用務員さんにときめいたり、好き勝手に恋心を発酵させています。お友達に聞かれれば「隣りのクラスのA子が可愛い」などと返しますが、実際は校長先生に懸想したりもします。10代はさびしかったけれど自由だった、それがいまおねえさんが思う事です。もっとも、いまはインタァネットが普及していますから、若いホモも無意識に「共通のイケメン」を好むよう矯正させられているかもしれません。

 さて、貴女は37歳で独身です。10代の処女が80代の男に恋したり、80代女性が10代の青年を籠絡すれば周囲もおだやかでないでしょうが、37歳が10代を好むのは、きわめて健全で普通なことです。失礼ながら、若さを好むのは心が若いからではなく、そういう趣味なのです。人の数だけ恋の形があることに、そろそろのんけも気づいてよい頃です。「37歳の女性と交際したいなぁ」と熱望しているたくさんの若者達が老いてしまう前に、とっとと行動なさい。

【今月のエプロンメモ】
 おねえさんは体裁や、条件を考えて恋した事がありません。ほぼ外見がよいと思った男にだけアタックしてきました。それは楽しい事でしたが、こと幸せになるためには客観的なバランスも大事だったのかしらと、50近くなった今、すこし思います。けれど、まだ、その答えは出したくありません。


熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『本日もおひとりホモ。中年マンガ家生活』(ぶんか社)、『世界一周ホモのたび 狂』(同)、『TOKYO中年駄ホモ生活』(同)など。

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最終更新:2017/01/22 16:00
TOKYO中年駄ホモ生活 (本当にあった笑える話)
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