きゃりーぱみゅぱみゅ、人気低迷で引退説も……「原宿KAWAiiカルチャー」は終わったのか?
――「原宿KAWAii」は、国内では衰退してしまったということですか?
中村 全盛期に比べると数は減っているものの、いわゆる「原宿KAWAii」のファッションが好きという人は今もいるでしょうし、「原宿 KAWAii」の精神を受け継ぎつつ新たなスタイルのファッションやカルチャーへと進化していると思います。ただ、ストリートでファッションを楽しんでいる人たちにとっては、「原宿 KAWAii」というワードやそこからイメージされるファッションはリアルではなくなっているのだと思います。
リアルマーケットのファッショントレンドの観点から見ると、10代後半~20代前半の若者を中心に、「原宿KAWAii」のような、かわいらしさを全面に打ち出すようなコスプレ感や“盛る”感覚の強いファッションは、ダサいという認識が強まっており、最近は、スタイルとして面白さやハズしが意識されるようになってきています。「原宿KAWAii」ブームの一方で、ファッショントレンドとしてはジェンダーレスやノームコアも浸透し始めていたので、そのあたりのユニセックスでクリーンな空気感が表立つようになったようです。その一方で、ストリートのムードとしては90年代後半~00年代前半に近い感覚も見られ、「原宿 KAWAii」の原点にあるような、より個性的で奇抜なスタイルに回帰している動きも一部で見られます。かわいいテイストでの統一感よりも、フラットにいろいろなカルチャーをミックスする感覚に軸足が移っているとも言えるのではないでしょうか。
――なぜ1つのジャンルではなく、“いろいろなカルチャーがミックスされたスタイル”が目立つようになったのでしょうか?
中村 「原宿KAWAii」ブームからの時代の変わり目ということもありますが、ブームの発祥のファッションの舞台が、街からインターネットへ移行していることも理由の1つだと思います。「原宿」のようなエリアではなく、インスタグラマーのような人やショップやイベントなどとても局所的な場所から、SNSを経由して同時発生的にブームが生まれている感じがありますね。
――今後、国内で「原宿KAWAiiカルチャー」はどのようになっていくと思われますか?
中村 カルチャーとしてはコアなファンによって脈々と続いていくでしょうし、グローバルな動きとも連動して、さらに新たな動きが生み出されていくのではないでしょうか。ファッションの観点では、従来のような「原宿KAWAii」の世界観でファンシーにかわいらしく統一していくスタイルは、しばらくリアルなファッションの表舞台から下がるのではないかなと思います。ただ、いずれまた「昔、こんなカルチャーやファッションがあったよね」と、「原宿KAWAii」が引き出されて、新たなファッションのソースになることは十分にあるかもしれませんね。
(取材・文=千葉こころ)