「小さく見せるブラ」「ノンワイヤー」トレンドに見る、オンナの“おっぱい”への意識
――過去と比較すると、ブラジャーの役割が“大きくきれいに見える”ということだけでなく、“バストケアや自分自身に対するケア”が含まれるようになったということでしょうか。
村田 そうですね。昨今は、心地よい眠りを誘う「ナイトアップブラ」もあります。女性の意識も、“見た目をきれいに”から“いかに快適に過ごすか”という意識に変わったように思います。その1つとしてバストケアも含まれているんですね。
以前、女性にアンケートをとったとき、ブラジャーに求めることとして「ラクなこと」「肌触りがいいこと」が上位に入っていました。「肌触り」は、かつてはあまり意識されていなかったんです。今はボリュームが出ることを第一の目的としておらず、店頭でも「パッドが入ってよせてあげられますよ」というよりも「着けていないような着け心地ですよ」というお声がけの方が共感してもらえるように思います。
――「小さく見せるブラ」が売れたことからもわかるように、“とにかく大きく”という価値観も変わったかもしれません。
村田 小さいことも個性として受け入れられるようになったのかもしれません。また、カップ機能を持たせたタンクトップなども出てきて、「ブラジャーをつけないことは悪いことではない」という風潮もあるように思います。
――今後はどういうブラジャーがはやると考えていますか。
村田 着け心地のよいブラジャーは依然として人気を保ちつつ、もう一度、しっかりと寄せ感のあるブラジャーのニーズが高まると思っています。実際、15年頃から、ブラジャー回帰が始まっているように感じます。「ノンワイヤーがはやっている」と言われながらも、実は弊社の売り上げの半数以上は「リボンブラ」など、メイクタイプのワイヤー入りブラジャーなんです。ラクに過ごせるブラジャーが出てきたからこそ、今ならラクに、洋服をもっときれいに着こなせるブラジャーができるのではないか、と考える女性がより増えたのかもしれません。女性は、ますますハイスペックな製品を望んでいると感じています。
(取材・文/安楽由紀子)
※画像提供:ワコール