コラム
今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

娘をデビューさせた後藤久美子に見えていないモノ

2017/09/29 21:00

◎モラトリアム
 早い! わかっていたこととはいえ早過ぎる! 神田沙也加の夫、活動休止。理由として上げた「休養と次なる夢の準備期間」は、全世界のヒモが共通して掲げるスローガン。

 死んだ魚の目。ペアルックを着るなど、女に合わせて自由に消せる表面の自我。しかし内部に秘めた闘志だけは、悟られることなく冷たく燃やし続ける。「意に沿わぬ労働」に対する、あの怒りに近い強い拒絶こそヒモの証し。じゃあ、どんなのが「意に沿う労働」なのか聞いても、永遠に要領を得る回答は得られない。自分探しをする時間と環境とを手に入れる才だけに富み、それを躊躇なく謳歌できる、選ばれし存在。汝の名はヒモ。こう書いてると、優れた特殊能力の持ち主のような気がしてくる。

 とにかく、神田沙也加よ頑張れ。頑張りたくなくなるまで頑張れ。その日がなるべく早く来るよう、我々余人は祈ることしかできないが。ヒモの神様、いるなら出てって。

◎母親ファースト
 「婚約」「引退」の舌の根も乾かぬうちに「都知事選出馬宣言」かぁ。ギリギリの喫水線の抉り方に、こんなにもバリエーションがあることを、身を呈して教え続けてくれる泰葉。ありがとう。もういいわ。

 婚約者と結婚し、子どももたくさん産まれ、子育てしながら、妻として母として女性として、国際的な視野も入れながら、都のトップとして現代社会が抱えるさまざまな問題の解決に奔走する自分を、国民全員が熱狂的に迎えてくれる……。そんな画ヅラが浮かんじゃってるんだろうな。脳内に。マジに。あー。

 まずは母親ひとりを幸せにしてみることから始めてみちゃどうか。あとの1,300万人は、それからでいいから。東京都民として、心の底からお願いします。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。

最終更新:2019/05/21 20:28
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