元女囚が教える「ポン中」の見分け方――半永久的に続く覚醒剤の害
おかげさまで私はなんとか大丈夫なのですが、今でも覚醒剤をやってる人は、すぐにわかります。ムショに入ってくる新人ちゃんたちの4割は覚醒剤がらみ(※)で、「自分、ナニやって来たん?」「シャブの使用です」とか会話する前に「あ、このコはシャブやな」と、すぐにわかります。
パクられて、判決が確定するまで、短くても何カ月か掛かるもんですが、そんな程度では抜けないほどの量を使っているんですね。そして、落ち着きがないくせに、ヘンな集中力はあるのも特徴です。手紙を書く時なんか、肩や顔にめっちゃ力が入って、唇がヨコにいってたり、足の指がぐーっと開いてたりします。あまりにも「ヘン顔」なんで、「唇、ヨコにいってるよ……」と教えたろかと思ったこともあります。あまりにも集中してて、声をかけるのが申し訳ないので、言うたことはないですけど。
でも、そのくらいならまだいいです。ネットニュースで、歌手のASKAさんが収容先の病院で「お菓子のサブレを洗濯物のように干していた」と報道された時は、「これは、相当イッてるなあ」と思いました。その後も、ヘンなブログを書いてはったりしてますよね。
同じポン中でも、10人に1人くらいの、いわば「選び抜かれた人」なのだと思いました。ここまで進んでしまうと、完全に治すのは難しいでしょうが、ファンも多いし、がんばってほしいですね。ただ、ASKAさんがパクられた時は、合成麻薬のMDMAも持っていたそうで、これはシャブよりも脳への影響はひどいといわれています。でも曲作りとかの才能には、きっと影響ないですよ。
※法務省『犯罪白書』によると、収容者の罪名はほぼ毎年同じ割合で、覚醒剤と窃盗(ほとんど万引)が4割ずつ、あとは詐欺が5%、殺人が2%くらいです。そのほかは暴行傷害とか、脅迫とか放火とか横領とかですね。バクチもありますが、やっぱり女性は少ないです。
中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」