詩織さん、三鷹ストーカー、小金井刺傷……被害者が警察に「たらい回し」にされるのはなぜ?
――そもそも「管轄」って何でしょうか?
「1つの管轄内に1つの警察署が設置されていますが、市町村で分かれているわけではないので、一般の方には少しわかりづらいかもしれないですね。管轄署を調べるには、現場で110番してもらうのが一番簡単です。管轄の警察署に直接つながります。また、東京なら警視庁のホームページにある『警察署一覧』で探すこともできます。なぜ被害現場を管轄する警察署に出頭してもらったかですが、どんな事件でも例外なく、実際の捜査は発生場所の警察署で行い、処理するからです」
――最寄りの警察署と管轄の警察署に連携はないのでしょうか? 本人が現場を管轄する警察署まで出向かないといけないのですか?
「もちろん連携はありますし、警察署間で事案を引き継がないなんてありえないです。性犯罪などの事案であれば、被害者の負担を軽減するために警察車両で送ることもあります。たとえ送らないまでも『今から被害者がそちらに行きます』と連絡を入れてつなぎます。管轄でない警察署が事件の顛末をつけることはできませんし、特に詩織さんのケースのように込み入った事情がある場合は、ご本人のためにも、管轄署が直接話を聞いて慎重な捜査を進めようと考えたのでは」
――対応に急を要する事件の場合、間に合わず、被害が拡大する可能性もあるのでは?
「『事件は管轄署が解決する』という原則を知ってもらい、最初から管轄署に出頭してもらえれば、時間短縮につながるかもしれません」
よほど遠方でない限りは、最初から事件現場を管轄する警察署に行ってしまった方が、二度手間も防げそうだ。しかし、被害者の負担を減らすためにも、そして対応の遅れによる新たな犯罪を食い止めるためにも、スピード感のある捜査ができるようにしてほしいものだ。
(C.FUJII)