『やすらぎの郷』、名もなき住人たちの姿で描かれた“老人ホーム”に絶賛の声
ニッポンのお茶の間をわかし続ける“昼ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週2回(月・木曜日)お届けします!
『やすらぎの郷』(テレビ朝日/月~金、昼12時30分) テレビ業界人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、家族、財産(遺産)、過去の栄光、恋、死への恐怖、芸術への心残り……、さまざまな思いを抱える老人たちと、彼らに翻弄される脚本家・菊村栄(石坂浩二)の姿を描く物語。
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■5月30日(火)/42話~6月1日(木)/44話
5月の連休に入り、「やすらぎの郷」に入居者の親戚や友人たちが訪れる様子が描かれた42話。そんな訪問客に混じり、確かな演技力は持ちつつも、好き勝手な言動から日本のテレビ界を干された元女優の犬山小春(冨士眞奈美)が、かつてテレビ局の敏腕プロデューサーとして鳴らした石上五郎(津川雅彦)を同伴し、姿を見せる。いまだに絶縁状態が続くシャンソンの女王・及川しのぶ(有馬稲子)に会いに来たらしい。そんな中、石上が1人で栄のヴィラを訪ねてくる。
43話では、石上が栄に、しのぶが司会を務めた伝説のバラエティー番組『しのぶの庭』を、業績不振が続く某テレビ局の起死回生を狙って40年ぶりに復活させる構想を打ち明ける。石上は、現在のテレビ業界が若者に頼りすぎていてアンバランスだと苦言を呈し、老人たちに向けた番組の構想を語るのだった。一方、自身の冠番組復活の話を聞き及んだしのぶは大乗り気。しかし、面会を求めてきた小春には頑として会おうとしなかった。その夜、栄はカサブランカで小春と久々の再会を果たす。
連休も終わりに近づき、「やすらぎの郷」の住人たちと親類や友人との別れの様子が描かれた同話。笑顔で別れる者、涙ながらに再会を誓う者、次は会えないだろうと覚悟する者、そしてそんな人々を横目に1人で過ごす者。メインキャストではない役者陣の姿で映し出されたそれらの姿に「『死』を意識した人たちの別れが丁寧に描かれている」「石坂浩二のナレーションと共に描かれたあの数分はこのドラマの一番深い部分ではないだろうか」「どれだけ豪華で華やかでも“老人ホーム”なんだってことをガツンと思い出させられた」と視聴者は心を動かされたようだ。
44話では、日本の芸能界を追い出されてアメリカに渡った小春が、その後に送った波乱の人生を栄に語る。小春は、ハリウッドで2本の映画に出演したものの、散々いじめられ、ニューヨークに移り、バイトをしながらスタジオに通って演技やダンスの勉強をした苦労の日々を吐露した。そして、かつての仲間と昔話がしたくなってここに来たと明かす。しかし、若き日の身勝手さが災いし、しのぶをはじめ、誰ひとりとして小春に会いたがる者はいない。寂しさをにじませる小春は、ついに「私もここに入れないかな」とつぶやき、栄に自分を理事に紹介してほしいと頼む。
「今週の『やすらぎの郷』はひと味違う」「これまでさんざん何かしらの騒動で大盛り上がりしてたのに、ここできゅっとしめてくるところが流石だよな」と脚本にも絶賛の声が続出している。これからもさらなる“深み”を視聴者に見せてくれることだろう。