ZARAに心も体も売った!? “その他大勢とは違う私”というプライドを捨てた「GINGER」
前号では突然モテ路線に変更するも、“モテ”の定義が曖昧で迷走気味だった「GINGER」(幻冬舎)。今月号の表紙は一転、黒とグレーに濃い目ピンクを効かせたクールな印象。何かを悟ったような長谷川潤の表情からは生気が感じられません。以前の、夢見がち要素ゼロの超現実主義へ揺り戻し……? 早速中身をチェックしていきましょう~。
<トピックス>
◎いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!
◎ネイチャーエレメンツが導き出す 開運ROOMへ改造計画
◎女子に効く、フレーズの裏側
■頼りになるのは男よりも「ZARA」という現実
これまで数号にわたってチェックしてきた表紙モデルへの巻頭インタビュー「COVER WOMAN」ですが、今回は掲載なし。「GINGER」では、“お疲れ女子代表(3月号参照)”的扱いをされていた長谷川が何を語るのか楽しみにしていただけに残念です。迷走気味の「GINGER」ですから、ロールモデルとなる女性芸能人もネタ切れだったのかもしれません。
さて、気を取り直してメインファッション企画「いつだって大人のおしゃれの救世主 私たちにはZARAがある!」を見ていきましょう。「とりあえずザラに駆け込めば解決する」「(オフィスも、週末旅行も、キャンプ&BBQも、パーティーも)どんなシーンもザラさえあれば!」など、今さらあの世界的なブランドをごり押しです!! 筆者は、「GINGER」とは、“TPOを意識しつつ他人よりも、ちょっとだけセンスのあるオシャレ”という絶妙に面倒くさいプライドを頑なに守り、適度に流行を取り入れつつも、その他大勢とは被りにくいブランドアイテムを推してきた雑誌と認識していたのですが、ここに来てZARA? その他女性誌たちと横並びのオシャレでよかったの!?
ページをめくると、まさにZARAに魂売ってしまったのかごとく、「毎日のおしゃれを全方位で支えてくれる、頼もしい存在」「私たちは、ザラをこんなにも愛してたんだってことに気づいてしまったのです!」と鼻息荒いキャッチが飛び込んできます。計44ページの総力特集……どうやら心だけではなく、体(ページ)も売ってしまったようです。
ところで、よくよく本文を読んでみると、前号でそこかしこに散りばめられた“モテ”というワードは皆無。「職場で女を捨てるな!」と紋切り型のコメントを押し付けてきた男の影も一切見当たりません。やはり定義も曖昧で揺らぎがちな“モテ”という概念にすがるより、コスパ最高でどんな場面でも役に立つZARAの方が、よっぽど頼りになりますもんね! どうやらモテ路線への転向は失敗したようですが、一号で早々に見切りをつけるあたりは潔い。もしかして「GINGER」は自分たちを縛る面倒くさいプライドよりも、実をとった、ということ? むしろ、プライドを捨てたら、残ったものが実だった、というところでしょうか。