「コンビニサラダ」「粉末の青汁」で、野菜の栄養素は本当に摂れるのか? 管理栄養士が解説
「健康のために、たくさんの種類の野菜を多く摂るようにしよう」とは思えど、なかなか実行できないのが人の常。保存の手間がかかる、しかもお値段もそれなり……という野菜をたくさん買い込むより、“野菜の栄養素を手軽に摂れる”と謳う商品に手を伸ばす人も少なくない。しかしそういった商品は、野菜不足の罪悪感を紛らわせてはくれるものの、本当に“野菜の栄養素”を摂れているのだろうか。管理栄養士の平野美由紀氏にお話をうかがった。
――最初に、成人が 1 日に摂取すべき野菜の種類や量はどれくらいに設定されているので しょうか。
平野美由紀氏(以下、平野) 厚生労働省が推奨する1日の野菜の摂取量は350gで、具体的な野菜の種類や量の設定はありません。女子栄養大学の四群点数法(※)や糖尿病の食事療法を参考にお伝えすると、野菜にはさまざまな栄養成分が含まれますが、色の濃淡で区分すると抗酸化作用があるカロテンやビタミンAやEが豊富な緑黄色野菜を150gと淡色野菜を200gで350gになります。また、「陰陽」の考え方から、野菜を“根のもの”と“葉のもの”で分け、さまざまな野菜を摂ることが勧められます。
※四群点数法=食品を栄養的な特徴によって、「第1群:乳、乳製品、卵」「第2群:魚介、肉、豆・豆製品」「第3群:野菜、芋、果物」「第4群:穀類、油脂、砂糖、その他」という4つのグループに分け、バランスのよい食事が取れることを目的にした食事法
――350gというと、少なくない量のように感じます。最近コンビニでは、「1 日に必要な野菜 2分の1が摂れる」などとパッケージされたサラダが多数売られており、忙しい人には人気のようですが、野菜の摂り方としては正しいのでしょうか。
平野 水溶性ビタミンや抗酸化作用といった野菜に含まれる栄養成分の特性から言えば、数時間で体内から排泄されるため、こういったサラダで一気に野菜を摂るより、3食に分けて食べた方がいいですし、疲れが溜まったり、抵抗力が落ちたり、疲れ目、肌のくすみや老化、吹き出物などが気になる方は、さらに意識して野菜を摂ることをおすすめします。
ただ1日350gという量を摂れたか、食べ方が正しいか・正しくないかを考えるより、食べる人が栄養について知り、自分で“どうやって野菜を摂るか”決められるようになればいいと思います。