仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

泰葉は、なぜ坂口杏里を救済しようとしたのか? “誰かを助けること”に依存する人

2017/05/04 21:00

藤原紀香も“感謝する女”の1人

 感謝といえば、女優・藤原紀香も“感謝”という言葉が大好きである。紀香は「婦人公論」(中央公論社)で、歌舞伎のしきたりや日本の歳時を学ぶきっかけを得たことに「感謝する」一方で、夫である歌舞伎俳優・片岡愛之助について「彼は人間的に素晴らしい」「弱者にとても優しい」と語っている。“弱者”という言葉を平気で使ってしまうあたり、やはり感謝感謝言う人は、「他人を下に見ている」傾向があると言えるのではないだろうか。

 泰葉に話を戻そう。泰葉は坂口救済計画をぶち上げたものの、坂口が事務所に所属していないからという理由で、計画を中止する。事務所に所属していなくても、救済に差し障りはないと思うが、批判を恐れたのだろうか。泰葉は中止を宣言するブログで、実は坂口と養子縁組をする気でいたとも明かし、悔しさを滲ませていた。

 そもそも、養子縁組をしなくても救済はできるはずだが、養子縁組をする場合、気になるのは、泰葉の経済状況である。3万円を恐喝するくらいだから、坂口が金銭的にひっ迫していたことは疑う余地がない。また、撮影済みとされるAVが、今回の恐喝事件でお蔵入りとなれば、違約金が発生する可能性もある。それらの費用や生活費、貯まっているかもしれないホストのつけを、泰葉は“親として”全額負担できるならいいが、そうでないのに養子縁組をするとしたら、坂口は泰葉の将来の介護要員になるだけで、メリットがなさすぎる。

 養子といえば、泰葉はネパール人男性を“息子”と呼び、「息子といる時間がとても大切」とも綴っている。若い男性と仲良くすることに問題はないが、友達や恋人ではなく、“息子”と呼ぶあたり、泰葉の孤独を感じずにいられない。いろいろ理由をつけているものの、泰葉はヒマで寂しいのではないだろうか。だとしたら、泰葉が坂口救済に手を上げた理由も納得がいく。「人を下に見る」クセがあり、寂しさを抱える人間にとって、手のかかる人間のお世話ほど、優越感をくすぐられる行為はないからである。手のかかる人間が再起を果たして、旅立たれると、また自分が寂しくなる。逃げられないようにするには、その人と“家族”になるのが一番なのである。“助ける”という名の依存。泰葉の抱える闇は深い。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、最新刊は『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの


最終更新:2017/05/04 21:00
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