コラム
【連載】プウ美ねえさんのエプロンメモ

「同級生の恋愛・結婚話について行けない」プウ美ねえさんの考える“友達”という存在

2017/04/22 18:30
(C)熊田プウ助

家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。

【今回のお悩み】
「女性愛者の私。友達付き合いに悩んでいます」

 私は、ここ数年で自分のセクシュアリティに気づいた、女性愛者です。クソ親との間でいろいろあって、現在、家族とは精神的に結別している(つもりな)のですが、友達とはどう付き合っていけばよいかわからず、悩んでいます。

 昨年、数年ぶりに高校時代の友人たちと忘年会で再会。うすうす予想はついていたのですが、彼女らの話題の大半が、男性との恋愛話や、結婚の話題に費やされ、私は気まずい思いで、関心がないふりをして、食事に集中していましたが、案の定、私にもそういう話題を振られて、自分のことを説明することもできず、内心ドギマギしながら別の話題に変えました。

 高校時代だったら、みんなで好きな漫画やアニメの話ばっかりしていて、楽しかったのにな……と、ちょっと寂しい思いがします。相手の人生も、自分の人生も、それぞれに変わっていくことは重々わかっているのに、自分と旧友との間に、ぷっつりと線が引かれてしまったようで、戸惑っています。なにより、問答無用で「あなたも、イイなと思ってる男性、いるでしょ?」という態度で話を振られるのに、緊張して、疲れます。

 ほかの全てのことと同じように、友人関係も、移り変わっていくものなのだとは思いながらも、なんだか寄る辺ない気持ちです。初対面の人になら、(安全そうな相手なら)自分のセクシュアリティを言えるのですが。プウ美ねえさんは、どんなふうに、自分のこれまでの人間関係と折り合いをつけましたか?(hkさん、27歳、FtX)

【プウ美ねえさんの回答】
 折り合いはありません。おねえさんの人生はウソとごまかしでできています。10代まではノンケの自分というウソを演じていました。その後、母親の詮索でホモがばれ、おせっかいな同級生によって下品漫画家であることが周囲にばれましたが、ウソをついてたことが恥ずかしかったので、今は「ウソついてたことを恥じてない自分」を演じています。ウソにウソを塗り重ねた人生です。ウソに慣れすぎて、親の前で、ホモであることを忘れたりします。

 自分をさらけ出せないのは寂しいかもしれませんが、ぎゃくに「ぜんぶ本音のつきあい」なんて、逃げ場がなく窮屈なものです。ノンケの同級生であっても、恋愛に興味がないとか、皆に言えない秘密を抱えているとかで「ぷっつりと引かれた線」をかんじている人がいるかもしれませんよ。27歳の集まりに恋愛話は無難であり必須ですが、その後、しごと、夫や子供、親の介護へとトレンドが変遷して、愚痴や自慢に飽きれば、かならずまた当時の漫画やアニメの話も復活します。その時まで話半分、うすらあいづちでお茶をにごすのもよい手です。

 また、友達とは「つねに自分を肯定して」「たいくつな時に楽しませてくれる」という一方的な存在ではありません。こちらからも損得抜きで「幸せを願い」「不幸をなぐさめ」「ときどき遠くでしかったり」しなければならない、大変めんどうなものです。そんなことを全てのひとに対してできたら、もうこの世で修行する必要はありません。どうぞ昔の仲間だけに執着なさいませんように。セクシャリティをあきらかにしたhkさんを、そのまま受け入れるひとは、これから、たくさん現れます。

【今月のエプロンメモ】
古い友達に久しぶりにあったら、あえて昔話をしないで、まるで初対面のように、いま夢中になっていることや、将来の夢を聞いてごらんなさい。昔ふざけあったときのグルーブを必死で探すよりも、そのひとの面白いぶぶんが再発見できたりして、おつなものです。

最終更新:2017/04/22 18:30
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