呑兵衛必見、貼るだけで二日酔いを防ぐ「二日酔い予防パッチ」の効果を医師に聞く!
――このパッチは、二日酔いの原因(アセトアルデヒド)に直接効く! というのとは違うんですね。
笠井 二日酔いの症状を緩和させる役割です。ただ、日本人の場合アセトアルデヒド起因の二日酔いが多いんですが、アセトアルデヒドの分解酵素を持っている方が多い白人の場合、脱水からの二日酔いが多いと思うんです。なので、欧米圏でこの二日酔いパッチが利用されているのかなと思います。
――なぜこの製品が日本で普及していないのでしょうか。お役所がらみの問題もありそうですが……。
笠井 日本は薬が認可されづらいというのはありますね。あと、日本でもよく米国製のサプリが販売されていますが、アメリカの多彩なサプリを提供する環境に日本が追いついていないというのもあると思います。この二日酔い予防パッチの成分を見ても、使う分には危険性はないかと思います。テープを貼るので、かぶれてしまうというのは人によってあるかもしれませんが。
同じ栄養素を「飲む」「打つ」「貼る」際に出る効果の違い
――ビタミン剤を飲む(内服)のと、パッチとして貼るのと、点滴するのでは何が違うのでしょうか。
笠井 内服は一番自然なスタイルですので体に負担がかからないことがメリットですね。ただし、吸収されるのは摂取量の半分程度ともいわれています。一方、注射や点滴は血管から入れるので、胃や腸で減る分がなく、かなり高濃度で取り入れられます。ただ、ダイレクトに血管に入るので気持ち悪くなってしまったり、アレルギー反応が起きてしまったりなどの危険性はあります。当然痛みもありますし、毎日血管に針を刺していると血管も弱ってしまいます。
一方、パッチを体に貼ったり筋肉注射を用いて、血管ではなく皮膚の中にとどまらせると「効きが長くなる」という効果があります。パッチでも筋肉注射でも、大体全身に行き渡るまで7~8時間くらいかかりますから。即効性を求めたかったら注射や点滴、ゆっくり効かせたい場合はパッチを取り入れるのが使いやすいかと思います。
――「二日酔い回復点滴」は、どういった成分が入ってるんですか?
笠井 こちらも飲酒時に水分とともに抜けていってしまうビタミンを補うのと、あとは医療機関ならではの、強力ネオミノファーゲンシーという肝臓機能を上げる物質も配合しています。アルコールは肝臓で代謝されるので、肝臓の機能を高めておくと楽になるんです。こちらの点滴はお酒を飲む前でも、飲んだあとでもいいですよ。
――いわゆる気軽に買えるウコンの力とか、ヘパリーゼには強カネオミノファーゲンシーは入っていない?
笠井 はい。強カネオミノファーゲンシーは医療機関でしか出せませんので。
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記事後編では引き続き、笠井医師にドクターならではの二日酔い予防策についても話をうかがっているので呑兵衛必見だ。
ちなみに、著者(酒量は人並みだが、酒を飲むピッチが速いため二日酔いによくなる)の場合、二日酔い予防パッチを貼った結果は、パッチに油断し一度大事故を起こした以外は「また買おうかな」程度には効いている(気がする)。しかし、あくまで二日酔い予防パッチは外国の製品であり、何かあった際に「二日酔い予防パッチで薬害被害」では、まったく周囲から同情されないだろうというのは、ありありと予想できる。くれぐれも利用は自己責任でお願いしたい。