「LARME」は「世界観から情報量」重視へ? 普通のファッション誌に見え始めた理由
「LARME」(徳間書店)に男性編集長が就任してから、早3号目になります。新体制後すぐの号では男ウケを意識した際どいランジェリー姿をバンバン載せたかと思いきや、次号では驚くべきほどの貞操っぷりを見せるなど、イマイチ方向性が定まり切っていない感じのある最近の「LARME」。また前号では、誌面アンケートの結果を重視し、ティーンズ向けのトレンド服やコスメを多く取り上げるなど、大衆読者に迎合し始めたと推測できるような内容が見られたのも印象的でした。さてさて今号は一体どうなっているのでしょうか!? さっそくチェックしていきたいと思います!
<トピック>
◎One‐piece meets girl
◎Girly Spring Book
◎かわいい女の子でいるための美バイブル
■形骸的でちぐはぐさを感じる「新・ガーリー」
一言でいうと、情報量がかなり多く、充実の内容でした。春らしいワンピースの特集や、「ピンク&オレンジ」メイクのハウツー、美顔器やボディケアなどの美容記事などが並びます。筆者も思わず、「ふむふむ!」と読みふけってしまいました。ただし、どれも「甘くて、かわいい(はぁと) 女の子のファッション絵本。」を謳ってきた「LARME」のイデオロギーのようなものがまったく感じられないのが残念です。それゆえツッコミどころも少なく、あまり面白味がありません。
筆者が気になったのは、とにかく「ハート」が頻出すること。ワンピース特集中盤の、ある見開きページを例に挙げます。
<合わせる小物によってガールにもレディにも変身できるよ(ハート)>
<今季はフレッシュでジューシーなカラーが目白押し(ハート)>
<甘さと色っぽさを兼ね備えたザ・レディフォルム(ハート)>
<個性派さんは柄と異素材で人と差を出して(ハート)>
<華奢でセクシーなラメワンピにキュン(ハート)>
<Tシャツワンピで甘カジュアルに(ハート)>
<おすすめは淡いサックスブルー(ハート)>
……
2ページから一部抜粋しただけでもコレだけ「ハート」を乱用しており、読んでいくうちに少し腹が立ってきて、暇なときに全部数えてやりたいと思ったほど。編集部には、「ガーリーなんだから、ハートつけとけばいいだろ」的な甘えがあるに違いないのでは……。こんな具合で、新体制「LARME」からは、どこか形骸的でちぐはぐなガーリーを感じてしまうのです。
読者に共感されるかどうかは別にして、従来の「LARME」には独特のガーリーな世界観があり、それがビジュアルやコピー、モデルたちの表情などの節々ににじみ出るような雑誌だったように思います。新しい「LARME」は、世界観よりも情報を重視するという意味において、「ファッション絵本」というよりはただの「ファッション誌」になりつつあるのかもしれません。これも時代の流れでしょうか。