「出稼ぎ」風俗嬢が見た、福岡のクソ客たちと新潟・長岡の寂しく孤独な男たち
博多は中州近くにビジネスホテルも密集しているので、この激安デリヘルの利用者も、繁華街で飲んで酔っ払った出張客の多いこと。とにかく酒癖の悪い客は臭いし乱暴だし、酔っぱらってろくに勃起もしていないのに、生で強引に挿入してこようとするような、クソ客ばかりだった。
博多在住のお客さん全員が悪いわけじゃない、東京や大阪から出張で来てハメを外して遊んでいる客層が最悪なんだ。客層は最悪だったうえに、13日間で34万5,500円という微妙な結果に終わった。この額なら東京でも全然変わらない、ただ閑散期だったのでちょっとは有り難かったというだけ。
それにしてもこの店、出稼ぎ嬢だらけで驚いた。ワケアリ嬢で、地元で出産できないのか住むところがないのかわからないけれど、何カ月も出稼ぎで滞在して働いている妊婦さんがいた。かなりおなかも大きくて、売りは母乳らしく、需要がかなりあるという話。赤ちゃんへの衛生面や性病のことを考えると、とても恐ろしくて理解できない。
でもやらなきゃいけない事情があるのかなと思うと、なんだか見ていて切なくなった。福岡のデリヘル、もう二度と働きたいと思わないし、恐怖でしかない。
◎面白いほどに客層が違いウブだった、新潟県長岡
この翌月からは、もっとまともなお店で働きたいと思い、また人の紹介でお店探し。店長やスタッフがいい人たちで働きやすく、新潟の第2の都市・長岡へ約1年お世話になった。
月の約半分を寮で生活し、東京と行ったり来たりする生活。博多のように地方の都会とまでいかない、のどかな田舎街、長岡。地方でも面白いほどに全然客層が違う。ウブな人も多く、風俗嬢を卑下しない人も多く、本気で結婚を申し込んでくるお客さんもいた。
コシヒカリなどの農家さんも多く、閑散期や繁忙期が他県と違い、田植えのシーズンや稲刈りのシーズンに出稼ぎすると、暇という印象だった。新潟に行くようになって驚いたことが、テレビのローカルCMで知った、うつ病自殺者の多さ。
本番を無理強いする人も都会に比べると圧倒的に少なくて、どちらかというと孤独や寂しさを癒やしたり、話し相手がほしくてデリヘル嬢を呼ぶという人も結構いた。
東京で奥さんに捨てられ、病んで実家に帰ってきたんだけれど、うつ病の薬を飲んでいるから勃起はしないんだ、と言いながらも、寂しさから真夜中にデリヘルを呼んで、ただひたすら話を聞いてほしいという人もいた。
障害があるからといろんなデリヘルに断られて、ようやくそちらのお店がOKしてくれて、とうれしそうに話す、酸素ボンベのカートを引いた男性とは、ラブホでたくさんお話を聞いた。
母がうつ病でずっと入院生活、祖母と二人暮らしの20代のお兄さんは、母の医療費と祖母との生活費を稼ぐことに必死で、仕事も介護職だから同世代の友達もあまりおらず、友達になってほしいと本気でお願いされたり。
地方の寂しさと孤独をまざまざと見せられた1年だった。気候が性格に影響するのかわからないし、雪国気質という言葉があるのかわからないけれど、暗くて閉鎖的で人見知り、よく言えば控えめ、親しくない人には陰湿だったりする人も多く感じた。でも、親しくなると本当に面倒見がいい。優しいし一途に遊んでくれる人が多かった。