カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「GINGER」4月号

“隙のある女”になるために涙ぐましい努力をしてしまう「GINGER」女子のズレ

2017/03/22 21:30

■ファッションにはとにかく自信がない「GINGER」女子

 続いて、メインファッション企画「これやれば、誰でもおしゃれになれる!」。「あなたに必要なのは、センスじゃなくて、ちょっとの勇気」という謳い文句と相まって、「GINGER」女子のオシャレに対する自信のなさを感じます。いつも通り、まるで教科書のようなファッションテクニックがびっしりと誌面を埋めているのですが、ページを追うごとに着こなしの難易度が上がっていくため、だんだん読むうちに混乱してきます。

 特に「この春、目指すのは“隙のある女”」というページでは、「ヘルシーな肌見せ(“適度”なさじ加減が大事)」、「甘くないリボン(うっかりほどけてしまいそうな危うさが鍵)」、「品格のあるスリット(トゥーマッチな色気にならないように)」など、“ちょっともう何を言っているのかわからない”アドバイスが連発され、もしかして「ミスターチルドレン(大人の部分と子どもの部分を持って!)」を目指せということなの? と混乱してしまいました。計算して「隙」を作るという矛盾に、センスではなく勇気をもって真正面から向き合うと、こういう方向性の努力が必要になるのでしょうか。眉間にシワを寄せながら誌面片手に鏡の前でコーディネートの確認をする「GINGER」女子が目に浮かびます。そんな人、実際いるのか。

 ちなみに今回一番よくわからなかった“小ワザ”は、「アウター肩落とし」。「これは何も、“落とした状態をキープしよう”という提案ではなく、あくまで偶発的に肩を撫で落ちてしまうくらい、ラフに着るのが今っぽいよね、ということです」とのことですが、偶発的に肩を撫で落ちてしまうくらいのラフさって具体的にどうやれば出せるんでしょうか。何センチくらいずり落とせばいいの? それって結局「センス」なのではと思ってしまう筆者でした。

 すっかり迷走してしまっているファッションページですが、これもやはり、「GINGER」女子たちに「私はこんな服が着たい!」という芯がないせいなのでは。他人よりちょっと抜きん出たオシャレがしたい、センスがあるって思われたい、という強い意志は感じますが、それは結局、他人の視線・社会性を意識しているからでしょう。冒頭で希子が言うように、それが自分で納得して選んでいるのならば問題ないのですが……。「GINGER」女子が、「お茶の間ウケ」から抜け出すには、まだまだ時間がかかりそうです。

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