皮膚科医が“顔ダニ恐怖症”に警鐘! 「駆除石けんはやりすぎ」「敏感肌は存在しない」
――肌トラブルが怒らないように、日ごろから気をつけておくべきことはありますか?
伊東 よく規則正しい生活や一定量の睡眠、バランスのとれた食事、ストレスのない生活などを推奨されますが、今の時代、現実的に無理な人が大半でしょう。そのため、「自分の肌に合った正しいスキンケア」を意識するだけでも、おのずと肌トラブルも減っていくと思います。
――「自分の肌に合った正しいスキンケア」を知るにはどうすればいいですか?
伊東 「正しいスキンケア」とは、どこのメーカーの何がいいとかではなく、自分の肌質に合う成分でケアを行うということです。例えば脂漏性皮膚炎は、その症状からよく乾燥肌と勘違いされやすいんです。皮脂の過剰分泌でマラセチアが増えている可能性もあり、本来ならば、皮脂を洗い流すタイプの洗顔フォームを使うべきなのですが、勘違いしたまま、乾燥肌用のケアをしていて、改善しないというケースもあります。そうすると、だいたいみなさん、オイル系統の保湿剤を使い始めて、その結果、症状を悪化させてしまうという事例も多いです。困ったときは自己判断せず、皮膚の専門医に相談するのが一番でしょう。
――まずは自分の肌質を知ることが大切なんですね。でも、自分の肌質をきちんと把握している女性は少ないように思います。
伊東 伊東 よく「私は敏感肌」とおっしゃっている患者さんがいますが、体だって同じ皮膚なのに、顔だけ敏感肌になるのはおかしいですよね。それはつまり、自分の肌に合わないケアをして、脂漏性皮膚炎などを悪化させていたり、じんましんの様な反応を起こしていることが多いのです。「敏感肌」という分類はあり得ません。今まで長年使っていた化粧品が合わなくなったという場合も、年齢とともに肌のコンディションが変わってきたことが原因だったりするんですよ。
困ったときは気軽に専門医に相談してほしいのですが、中にはニキビの原因を特定できずに「チョコレートは一切食べるな」など食生活に対して極端なアドバイスをしたり、詳しい説明もせず「この薬を飲んでおけばいい!」と叱責したり、保険の効く薬を実費扱いで出したりする医師も、残念ながら存在するようです。受診する際は、信頼できる医師を選ぶようにしてください。
(取材・文/千葉こころ)
伊東秀記(いとう・ひでき)
日本皮膚科学会皮膚科専門医、医学博士。立川皮膚科クリニック院長。皮膚に関するあらゆるトラブルの原因を徹底的に追究し、トータル的な治療でお悩みに対応。先生の治療を受けたいと、多くの患者が集っている。
立川皮膚科クリニック