「パン屋に詳しい女」を嫌うSHELLY……テレビで「オンナによるオンナ叩き」が蔓延するワケ
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「パン屋さんにやたら詳しい」SHELLY
『徳井と後藤と麗しのSHELLYと芳しの指原が今夜くらべてみました』(日本テレビ系、2月14日放送)
『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)は、テーマに沿ったゲストを招いてトークを展開するバラエティ番組だが、最近「テーマが違っても、同じような話をしている」と思えることが増えてきている。具体的に言うと「オンナによるオンナ叩き」で、既視感がすごいのだ。
2月14日放送の回のテーマは、「大都会東京のここが嫌い」だった。ゲストは、ひがみソングの歌姫・関取花、長崎県五島列島出身の女優・川口春奈、最近、東京進出を果たしたお笑い芸人・尼神インターの渚。3人は「東京のここが嫌い」トークを展開するが、よく聞いてみると、「それは東京と関係ないのでは?」というツッコミたくなるようなエピソードが多い。
例えば、関取が「都会に染まった女」として明かしたエピソードは次の通りだ。学生時代の友達が、オシャレな出版社に勤務し、吉祥寺に引っ越したので遊びに行った時のこと。それまではショートカットにTシャツとジーンズ姿で、赤ちょうちんの飲み屋で飲んでいた彼女が、今はふわふわボブとロングスカート。ビールはやめ、今はパクチーモヒートがお気に入りだそうだ。関取が芸能ニュースを話題にすると、友達は「人のいいところを探すのではなく、悪いところばかり探していると、心は豊かにならないと思う」とたしなめられたことを芝居がかった口調で話していた。その後、ボサノバジブリの流れる友人の部屋で、北欧製の鍋で作ったチャイティーをふるまわれる。「味がぼやけているから、わからない」のが本音だったが、無難に「家で入れるとおいしいね」と答えておいたそうだ。
話しながら、こみ上げる笑いを抑えられない関取に、MCのフットボールアワー・後藤輝基が「バカにしてるやろ!」とツッコんだが、私も同意見である。このエピソードは「都会に染まった女」というより「就職してライフスタイルや価値観が変わった女」であり、もっと言うと「昔は仲が良かったが、今は嫌いな女」という方が適当ではなかろうか(ちなみに、関取はこの友人のことを「さらばコットンガール」という曲にしたそうである)。