「子どもを怒鳴るのが快感に」プウ美ねえさんが、自己嫌悪する母へ伝えたい「親の弱さを知る」意味
家族関係、恋愛、夫婦関係、仕事、結婚、介護、人生……サイ女読者のお悩みに“プウ美ねえさん”こと熊田プウ助が、いつもそばに置いておきたい“エプロンメモ”とともに回答します。
【今回のお悩み】
「子どもが漏らしても軽く流せるような母親になりたい」
まだ園児である子どもを、しょうもないことで怒鳴り散らす自分が嫌です。元来気は短い方ですが、子どもができてから、さらに怒りっぽくなりました。しかも、大声で怒るとスッキリする自分がいます。怒鳴りながら「ア、コレ、ヨクナイ、ヤメナキャ」と思っているものの、怒鳴り散らす“快感”に負けてしまう感じです。怒った後は子どもに申し訳なくなり、泣いて謝ることもよくあります(殴った後に優しくなる男と行動が一緒)。
今日は玄関で漏らして泣く子どもに、「なんべん言ったらわかるんやあ! 幼稚園でしてこいって言ってるやんかあ!」と何度もしつこく叫びました。「小さな子どもは、漏らすときゃ漏らす」ということなど百も承知なのに、怒鳴らなければ収まらないのです。子どもが漏らしても「しっこなんか汗と一緒や! ほっときゃ乾く! ガハハ!」と軽く流せるような母親になりたい。よろしくご指導ご鞭撻、お願いいたします。(くるみさん、45歳)
【プウ美ねえさんの回答】
あなたが好きだから楽しくすごしたいのに、わたしはなんにも悪くないのに、どうしてあなたはわたしの希望をじつげんしてくれないの。というお気持ちですね。おねえさんに子はいませんが、好きな人との暮しを毎日妄想しているので、わかります。ちかしい人に裏切られて(せいかくには、自分の夢をじゃまされて)、よけいに情けない気持ち。黙って胸におさめたら、胸の内側がトゲトゲで傷つきます。怒鳴ってスッキリするのも、もっともなことです。
こういう時は、お子さんも他人だということをいっしゅん思い出してはどうでしょう。大変な思いをしてお産みになりましたが、もともと半分は他人です。さらに幼稚園のお友達、先生、たくさんの人の影響をうけて個性もめばえているでしょう。操縦できなくて当たり前、と考えると少しラクかもしれません。この心がまえは友達や、恋人にも応用がききます。また、感情てきな態度をみせあうくらい家族として普通、と開きなおるのも手です。完璧なお母さんとして尊敬されるのもよいですが、大きくなったとき、ご両親の劣化コピーどまりではお子さんが気のどくです。「親を超えたい」と思う瞬間はひつようです。おねえさんは考える力のない子どもで、18歳くらいまで両親が手本で理想、と信じていました。人として大失敗です。その後2人を嫌いになり、今はまた愛していますが、「親にも弱さがあって当然」と気づくのが遅すぎました。
くるみさんは、この世でいちばん大切なユーモアの才能がおありになる。だから大丈夫です。「しっこなんか汗と一緒」ぜひこの名文を玄関に貼っておき、次回から大声で読んでごらんなさい。はじめは笑えなくても、いつか心から「ガハハ!」と言えるようになります。ガッカリした時、それを「ガハハ」と言おうとした人が「ガハハ」な人になれるのです。しっこの数だけ強くなれますよ。
【今月のエプロンメモ】
プウ美おねえさん48歳も、よく玄関で大小もらします。緊張がゆるむのです。お子さんも、おうちが大好きだからこそ、ほっとしてしまうのです。玄関にカラフルなミニバケツなどを置いておくと、緊急時の助けにもなり、ぐっとしゃれています。(じぶんメモ)
熊田プウ助(くまだ・ぷうすけ)
1969年生まれ、ゲイ漫画家。都内でひっそりと飼い猫と暮らす日々を描いたエッセイマンガ『本日もおひとりホモ。中年マンガ家生活』(ぶんか社)、『世界一周ホモのたび 狂』(同)、『TOKYO中年駄ホモ生活』(同)など。
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