TOKIO・城島茂が手にした、「国民のおじいちゃん」という無双のポジション
メンバーがリーダーの「老化」をイジり、それをリーダーが嬉々として受け入れるというやりとりは、番組内で幾度となく繰り返されてきた「定番」の流れである。『THE!鉄腕!DASH!!』が人気&長寿番組であるために「城島茂おじいちゃん」がパブリックイメージになった面は大きいだろう。
だが、番組の中で育てられてきた「おじいちゃん」キャラも、もともと本人の持ち合わせた性質であることには間違いない。
例えば、小中学時代など、周囲の子よりちょっと声変わりが早く、落ち着いたキャラの男子が、クラス内で「おっさん」と呼ばれていたなんてことはなかっただろうか。モノをこぼしたり、倒したりするおっちょこちょいの人が、友人たちから「も~、またこぼして。〇〇おじいちゃんは~」などとイジられることもよくある。
だが、普通は一瞬の「おっさん」「おじいちゃん」イジリで終わるところ、ノリのいい子や、おおらかな性格の子など、人気者や愛されキャラの場合、怒るでも嫌がるでもなく(内心、最初はイヤかもしれないが)、周囲の遊びに付き合って、「おっさん」「おじいちゃん」を演じてくれることがある。
すると、周りはうれしく、楽しくなってしまい、もっと「おっさん」「おじいちゃん」扱いする→最初のきっかけを思い出せなくなっても、「おっさん」「おじいちゃん」が仲間内で定着するというのは、結構あるパターンだ。
言ってみれば、周囲を喜ばせようというサービス精神と包容力が作り出す「おじいちゃん」感。加えて、不思議と、「外見」には内面がにじみ出るもので、「絶対にオバちゃんと呼ばせない!」と加齢に抗って頑張る女性が、それなりに見た目の若さを維持していることが多いように、「おじいちゃん」を精神的に受け入れる人は、外見も「おじいちゃん」化していく。
ちなみに、この「おじいちゃん」感は、個人の資質だけでなく、グループ内のポジションや関係性によって作られる部分もある。
例えば、嵐では最年長・大野智と最年少の松本潤が、また充電中のKAT‐TUNでは、やはり最年長・中丸雄一と最年少・亀梨和也が「じいまご(爺孫)」として愛でられているように、他グループでも、「グループ内おじいちゃん」は少しずつ育っている。
ともあれ、40代で実際に孫を持ち、おじいちゃんになる人はわずかにいるけれど、「おじいちゃん」キャラの有名人なんて、俳優やタレント・芸人・スポーツ選手などを広く見渡しても、そうそういない。
40代にして早くも手に入れた、城島リーダーの「おじいちゃん」キャラ。それはアイドルだからこそ成し得た無双のポジションだ。
(田幸和歌子)