カルチャー
【連載】日本を捨てる女性たち

「日本がつらかったら、外に出てみればいい」ユルいペースで働けるタイで、ジムつきマンションに暮らす女性

2017/02/06 15:00

■日本がつらかったら、とりあえず外に出てみればいい

バンコク中心部は東京と変わらないような都会

 転職社会のタイを渡り歩き9年目、今は堪能な語学力を武器に日系の会計事務所で働いている。日本人の会計士や弁護士も籍を置く。タイへの日系企業の進出は増える一方で、さまざまな業種で人が求められている。

「最近は忙しくて、夜8時くらいまで仕事することもありますが、できるだけ早く帰ります。『そんなに会社に時間は捧げないぜ』と思っているし、タイではそういう働き方が許されるので」

 プライベートでは日本人やタイ人の友人と食事に行ったり、ときには引きこもってゲームに没頭したり。

「タイに来たばかりの頃はよくクラブにも行ったけど、最近はボリウッドダンスの教室にハマってます」

住んでいるのはバンコク都心から高架鉄道で15分ほどの下町。

「大きなベッドルームと広々としたリビングが気に入っていて、1カ月1万2,000バーツ(約3万9,000円)。掃除や洗濯をしてくれるマンション共有のお手伝いさんも住み込んでいるし、ジムもあります。部屋は8階なんですが、眺めが良くて、バンコクの夜景をいつもぼんやり見ています」

仕事も大事だが、そうしたゆるやかな時間も大切にしたい。実際、タイ社会では残業は一般的ではない。タイ人の人生の中で、仕事の優先順位は低い。

「苦しんで働くより、人生は楽しんだ者勝ち。日本がつらかったら、とりあえず外に出てみればいい。合わないと思ったら帰ればいい。それだけ気軽に世界を行き来できる時代なんだから」

 日本では一生懸命がんばっていても、空回りしたり、報われないと感じている人も多い。

「だったらそのがんばりを、外に向けてみたらどうでしょうか。でも、いったん出てみたらもう、帰りたくなくなるかもしれませんが」
(室橋裕和)

最終更新:2017/02/06 15:00
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