ドラマ『銀と金』に出てくるギャンブルの合法と違法の境目とは?
「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。
<今回のドラマ>
『銀と金』(テレビ東京系/土曜日深夜0時20分~)
■お菓子や食事など、その場ですぐに消費できる物を賭けるのは合法
1月7日より放送される、福本伸行の漫画が原作のドラマ『銀と金』。うだつの上がらない青年・森田鉄雄(池松壮亮)が、裏社会を仕切る大物フィクサー平井銀二(リリー・フランキー)と出会い、欲望渦巻く裏社会へ足を踏み入れていく様を描いたサスペンスだが、競馬、ポーカー、麻雀など、各種ギャンブルが登場する。先月、「カジノ法案」が可決、成立し、数年後には日本にもカジノが誕生する見通しとなったが、日本におけるギャンブルの合法と違法の違いは何か、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いた。
まず、日本においては原則としてギャンブルは違法だという。
「日本の刑法では、『賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する』(刑法185条本文)と規定されており、賭博、つまりギャンブルをした人は賭博罪で罰せられることになっています」
一方で、「一時の娯楽に供する物、すなわちお菓子や食事など、その場ですぐに消費できる物を賭けた場合は、例外的にギャンブルが合法とされる」と岩沙弁護士はいう。例えば、バラエティー番組『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の人気コーナー「ゴチになります!」のように、仲間内で、負けたら食事代をおごるというゲームは違法ではないのだ。また競馬、競艇、宝くじ等の公営ギャンブルやパチンコは合法である。
「パチンコは通常、パチンコ店とは別の景品交換所で景品と現金を交換できるため、賭博罪にあたるのではないか、との見解もあります。もっとも、政府は、平成28 年11月18日に衆議院に送付した答弁書において、パチンコ店は、風営法に基づき必要な規制が行われており、その範囲内の営業については、刑法の賭博罪に該当しないとの見解を示しました。
また、合法とされるギャンブルとして、特別に法律で認められている場合があります。例えば、競馬は競馬法、競艇はモーターボート競走法、宝くじは当せん金付証票法で認められています」
では、賭け麻雀やポーカーはどうかというと、これらの例外に当たらないギャンブルなので、原則通り違法となる。ただし、賭け麻雀については、全国的に広く行われていることもあって、賭ける金額が多くなければ、警察や検察はあえて逮捕や起訴をしないのが現状だそうだ。
しかしながら、「これは単に見逃してもらっているだけであって、違法であることに変わりはありません」ということなので、調子に乗って賭け金をつり上げていくと、逮捕される可能性もある。違法なギャンブルはドラマの中での疑似体験にとどめておくのが無難だろう。