イケメン俳優の傾向が変わった?

星野源、坂口健太郎、高橋一生……2016年ドラマのイケメン俳優からジャニーズが消えた

2017/01/09 19:00

――『キャラクタードラマの誕生』(河出書房新社)『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ』(宝島社)などの著書で知られるドラマ評論家・成馬零一氏が、2016年のドラマで存在感を示したイケメン俳優を5人ピックアップ。ジャニーズ勢が圏外となった理由とは?

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左から『働く男』(文藝春秋)、『坂道』(集英社)、『AZZURRO』(幻冬舎)

◎ディーン・フジオカ 『あさが来た』(NHK)

16年のイケメンドラマを見ていると、俳優の出自が実に多様化したと思う。筆頭は連続テレビ小説『あさが来た』の五代友厚役でブレークしたディーン・フジオカだろう。五代はヒロインのあさ(波瑠)を幼少期から支える、あしながおじさん的ポジションのキャラだ。そこで付いたイメージは、深田恭子と共演した『ダメな私に恋してください』(TBS系)、織田裕二が演じる貴族の末裔に仕える執事を演じた『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系)などにも引き継がれている。

 ディーンのように、アジア圏でキャリアを積んだ俳優が逆輸入的に戻ってくるという流れは『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系、以下『逃げ恥』)に出演した大谷亮平にもつながっており、今後も“大陸系イケメン”は増えていくことだろう。

◎高橋一生 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)『プリンセスメゾン』(NHK BS)


 15年の『民王』(テレビ朝日系)以降、高橋一生もあしながおじさん的なキャラが支持されている。元々、子役時代から活躍するキャリアの長い俳優だが、16年は『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(以下『いつ恋』)や『プリンセスメゾン』、映画『シン・ゴジラ』に出演。実力派として脇で活躍していたアラサーの俳優が、ある日突然見つかって、イケメン俳優として中央に躍り出てくることは、ここ数年よくあるが、今年は坂元裕二脚本のドラマ『カルテット』(TBS系)での主要キャストに名を連ねており、いよいよ大ブレーク間近である。

◎坂口健太郎 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』

 ディーン・フジオカや高橋一生が目立つ状態というのは、裏を返せば、若手イケメン俳優が充実しすぎており、新人が入り込む隙がないということなのかもしれない。そんな中、『いつ恋』『重版出来!』(TBS系)連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)と、立て続けに話題作に出演して人気俳優となったのが坂口健太郎だろう。

 元々、『ヒロイン失格』や『俺物語!!』などの映画に出演してイケメン俳優として人気を博していたが、坂口の面白さは類型的なイケメンキャラを演じながら、イケメンとして消費されている自分に自覚的で、そのことによって影を深めているというメタ・イケメンキャラを演じてきたことだ。『いつ恋』の中條晴太は、そんなメタ・イケメンキャラが持つ不気味さがにじみ出ていて面白かったが、後半、物語が迷走してしまったのが残念。近作では、かわいい男の子感が前面に出ていて不気味さは鳴りを潜めているが、いつか、怖いイケメン役を演じることは間違いないだろう。

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