『ハイロー』『おそ松さん』2016年ヒット作を“元アウトローのカリスマ”瓜田純士が斬る!
――教えてください。
瓜田 不良の設定じゃないほうが、よかったんじゃないかな。HIROがこういうバイオレンスの世界に憧れるのもわかるけど、無理して不良を演じさせるんじゃなく、俳優がそのまんまを演じたほうがよかったんじゃないでしょうか。
――と、申しますと?
瓜田 EXILEがEXILEを演じる、ということです。日本中の誰もが知ってるダンスボーカルユニット、EXILE。その裏側を、EXILEのメンバーが自ら演じるわけです。過酷なオーディションの様子とか、メンバー同士の足の引っ張り合いとか、派閥争いとか、そういうドロドロした話を描いたりね。
――それは見たいかも!
瓜田 「あのPV制作の舞台裏では、こんな醜い争いが起きていた!」「この冬始まる、EXILEの内乱!」とかいう実話ベースのフィクションなら面白いでしょう。フィクションだから、 『ハイロー』にも出てた窪田正孝がオーディションを受けに来たっていいわけです。で、オーディション会場に大ボスのHIROが現れて、「俺は血が滲む努力をしてこの一大ユニットを築いた。おまえらも勝利の美酒を飲みたければ、自力で這い上がってセンターを勝ち取れ!」とか言って、バイクでブロロロロロンと去って行ったらシビレるでしょ。EXILEを毛嫌いしてた人たちだって、そういう話だったら見たくなるはず。「へぇ、EXILEってやっぱすごいんだな」と、リアルなPVを見る目も変わってくると思うし、ファン層も広がるんじゃないでしょうか。
――大いに納得できる話ですが、 実は『ハイロー』もファン層の拡大につながったみたいですよ。これまでEXILEに興味がなかったオタク系の女性からも多くの支持を得ているようです。その心理はわかりますか?
瓜田 あのね、そういう人たちは、俺とはまるで別世界の人たちなんですよ。気持ちなんかわかるはずないでしょ。
――ちなみに中年のサブカル男性からも、『ハイロー』は多くの高評価を得ているようです。
瓜田 それは、自分の彼女や娘が好きだからじゃないですか? 誰だって自分よりイケメンのイケてる話なんか見たくないですよ。何が悲しくて、そんな格好いいキャーキャー言われてる男の集合体をカネ払って見に行かなくちゃならないんですか。アホらしい。頼むから俺の貴重な時間を返してくれと言いたい。まぁでも『ハイロー』は流し見できる分、まだマシかな。もう一個のほう、タイトルを言うのもイヤなんだけど、あれは本当にひどかった!
――それでは、次なるお題に入りましょう……。
☆瓜田の『おそ松さん』評
――『おそ松さん』を見た感想をお聞かせください。
瓜田 昨日と今日の2日間を使って自宅でDVDを見たんですが、あまりのつまらなさに腰が痛くなりました。一刻も早くイジェクトボタンを押したかったけど、仕事だからと我慢して見続けてるうちに、治ったはずのギックリ腰がぶり返し、どんどん機嫌も悪くなってきて、しまいには嫁に当たり散らすハメになりましたよ。これが原因で離婚に至ったら、どう責任を取ってくれるんですか。
――それは大変失礼いたしました……。
瓜田 ただ、赤塚先生のように一世を風靡した人は、亡くなったあともキャラクターという子供たちを世に羽ばたかせることができるんだな、という点と、ブラックバイトだったりニートだったりという、今どきのテーマを盛り込んでる点は評価できます。……が、いかんせん、まったく面白くなかったです。
――笑えなかったですか?
瓜田 こういうノリ、大の苦手ですね。子供のときに友達の妹の部屋にある少女漫画を見て、引いたことないですか? これも一緒。「うわ、なんだこれ……」という生理的嫌悪感に襲われましたね。子供の頃、赤塚漫画に触れて育ってきた人なら、まだご愛嬌で許せるのかもしれないけど、そうじゃない人は、キツいんじゃないかな。
――ところが、原作を知らない若い層にもウケてるみたいですよ。
瓜田 どんな人たちが、これを見て面白がってるんですか?