SMAPが「ジャニーズドラマ」に残した功績――俳優としての5人を印象づけた代表作レビュー
■草なぎ剛 『TEAM』(99年10月期、フジテレビ系)
草なぎ剛というと、ヒューマンドラマの『僕』シリーズ(フジテレビ系)が有名だが、近年は『スペシャリスト』(テレビ朝日系)等のピカレスクヒーローモノが好評で、単純な善人というよりは影のある少し嫌な奴を演じた時が一番映える。そんな中、今でも忘れられないのは、少年犯罪を扱った刑事ドラマ『TEAM』だ。草なぎが演じたのは、少年犯罪を調べるために警視庁に配属された文部省(現・文科科学省)の若手キャリア。ロボットアニメが好きというオタク属性も当時は新鮮だった。
■香取慎吾 『家族ノカタチ』(16年1月期、TBS系)
90年代は幼いベビーフェイスとワイルドなボディーのギャップで、セクシーな存在感を振りまいていた香取慎吾だが、00年代に入ると『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(TBS系)の両津勘吉のような漫画のキャラクターが増えていき、演技力というよりは本人の無垢さを生かした漫画/アニメ的なキャラクターを演じることが多かった。
そんな中、新境地となったのは『家族ノカタチ』で、謝罪会見から解散に向かう過程で露呈した、“アラフォーの独身中年男性”としての香取の姿が垣間見られた。なんというか、人間・香取慎吾に初めて肉薄できた連続ドラマだと思う。
【ジャニーズドラマにおけるSMAPの功績】
今や“ジャニーズドラマ”はジャンルとして定着しているが、その中でSMAPが果たした役割は、トレンディドラマ以降の「恋愛ドラマ」や「お仕事モノ」の伝統を引き継いだことだろう。本木雅弘などの例外を除くと、SMAP以前は男性アイドルがテレビドラマで主演を果たすということは異例なことだった。
一方、ジャニーズドラマにはKinKi Kids・堂本剛が主演を務めた『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)の流れを汲む、漫画/アニメ的なキャラクタードラマがある。演出家の堤幸彦や脚本家の宮藤官九郎といった作家性の強いクリエイターと組むことで、アイドルでありながらこんな斬新な表現をするのか、というドラマを作り上げてきた。現在のテレビドラマにおける主流は後者で、SMAPもまた、香取を筆頭に『こち亀』等のキャラクタードラマに多数出演していた。
年齢を重ねても年相応の役を演じることができないため、年齢不詳の漫画的なキャラクターを演じ続けなければいけない苦悩をジャニーズアイドルは抱えており、それはそのままアラフォーになってもアイドルとして活躍し続けたSMAPの苦悩とも重なる。
しかし、最も年齢を感じさせないキャラクター的存在だった香取が、『家族ノカタチ』で年相応のアラフォー男性を演じるようになった今、おそらく今後のSMAPメンバーは、年相応の中年男性として、大人の魅力を見せることができる俳優に成長していくのではないかと思う。