カルチャー
このまま消滅するのか?

書くのは素人、チェックも素人 キュレーションサイト=パクリは必然だった!?

2016/12/13 15:00

■記事をチェックするアルバイトも素人

 キュレーションサイトを運営する企業や、運営の代行をする企業のほとんどが、こうした体制で記事を量産しているという。また、クラウドライターはほぼ使い捨てで、比較的まともな文章を書ければ継続、使えなければ登録を抹消。ライターを育成する機構もないから、ライターの質が向上することもない。

 さらに紙媒体などでは、ライターが書いた文章は担当編集者がフィルターになり、記載内容に事実誤認など問題がないか、ほかの記事からのパクリはないかなどをチェックした上で記事になる。つまり、プロが書いた記事をプロがチェックする体制だ。では、DeNAのような悪質なパクリ記事が世に出てしまうのはなぜだろうか?

「簡単ですよ。チェックしている人間も素人だからです。仮に毎日50本ほど記事がアップされたとして、それを数人の担当者が誤字脱字はないか、パクリがないか、なによりきちんとした文章になっているかどうかを詳細にチェックしていたら、とんでもない時間がかかります。人件費のことを考えてもそれは不可能だから、チェック用のアルバイトが担当するんですが、そういう連中の中で、金を払う価値のあるまともな文章が書ける奴なんてほとんどいません。

他のネット記事からコピーしていないか、コピペ部分を検索するソフトもありますが、文章の意味をきちんと理解して、別の言葉で書き換えられる人間がいない。結局、記事のクオリティを維持するために大切なのは、マンパワーなんです。最近、ライター仲間とよく話すんですよ。今後はパクリ疑惑を回避するために、『引用元』、『出典』を記載するサイトが増えるだろうって言う者もいますが、浅はかですよね(笑)。出生数とか、お役所のデータとかならともかく、芸能情報や医療などの専門知識を『引用』していたら、きちんと取材して書いた記事じゃないのがバレバレなのに」(経済紙記者)

 DeNAのスキャンダル後、更新が途絶えていたり、一部の記事を閲覧不可にしたりしているキュレーションサイトは、きっと心当たりがあるのだろう。

 キュレーションサイトに限らず、いかなる形にしろ情報を社会に出すのは、それ相応の責任が伴う。その情報を受け取る側へ、何らかの影響を与える可能性があるからだ。DeNAは「第三者委員会の調査で問題の本質を明らかにし対応策を示していく」などとしており、今後、メディア業界の構造やネットの情報の質は、大きな見直しを余儀なくされるかもしれない。

最終更新:2016/12/13 17:05
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