キャバクラ経営者がキャバ嬢にハマらなかった理由 夜の世界の本音と建前
キャバクラには指名なしで入店し、接客が気に入った子をその場で指名する「場内指名」と、最初から特定のキャバ嬢目当てで来店する「本指名」がある。キャバ嬢たちの時給は「本指名」の数で決まることが多く、だからキャバ嬢たちは「本指名」をとるために懸命に接客し、また、多くの「本指名」を持つキャバ嬢たちは、顧客を逃がさないために必死だ。
元キャバクラ経営者で、現在はキャバ嬢たちにドレスやスーツを販売する外商のM氏は、「本指名」をとる子たちには共通する特徴があるという。
■かわいい子より熱心な子が人気になる
「ボディタッチが多い、聞き上手、営業メールがうまい、かわいいとか、人気が出る子のタイプはいろいろありますが、正直ね、かわいいかどうかはあんまり関係ないんです。人気が出る子に共通しているのは、熱心さ。本指名がない子は指名なしのフリーの客につき、場内指名を増やしていく場合が多いんですが、その前段階としてマネジャーの話をメモをとりながら熱心に聞く、接客がうまくいかなかったときには、客にどの子をつけるかを決めるつけ回しやボーイに相談して次に生かす、とかね。
何人か本指名の客を持っていても、フリーやヘルプに回ると途端に不満を持つ子はダメ。そういう気分や態度はスタッフにも客にも伝わるから、本指名が増えません。逆に、熱心な子は金を持っていそうな客につけてもらえるし、トップの子のヘルプに入ったときなんかに、一緒に遊びに来ていた客に気に入られて次は指名してもらえることもありますからね」
そうして「場内指名」の客をつかんでおけば、他の店に移ったとき、今度は「本指名」の客として来てくれる。そうなると、給料もぐっと上がる。
「私が店をやっているとき、まあ、ほとんど人に任せていたわけですが……。入店したときは『なんだかあか抜けない子だな』と思っていた子が、しばらくしたらトップ3に入っている。理由を聞いてみたら、『聞き上手で会社の役職付にウケがいい』とかね。言い方は悪いですが、そういう“人たらし”がうまい子はどんどん上にいくようです」
そうした“人たらし”に魅力を感じるのは客だけではなく、店のスタッフも勘違いしてしまうこともあるのだとか。実際のところ、M氏も心が揺れたことがあるそうだ。
「私の目をじっと見つめて話を聞いている姿を見ているとね。まあ、私も店をやっている頃は若かったし、『もしかして俺のこと……』なんて勘違いをしたこともありました。バカですよね(笑)。でもね、わざと思わせぶりな態度をして店の上層部に気に入られて優遇されようというあざとい子もいるから油断ならない。まあ、そういう疑似恋愛をさせるのが彼女たちの仕事ですからね。しかし、店の総責任者である以上、『彼女たちは店の大切な商品だ』と自分に言い聞かせて、絶対に手を出すようなことはしませんでした」