アメアパ撤退、アバクロは大丈夫? GAPがいつもセールをしている理由は?
■サイズが外国人向けだったため、売れなかった
日本で海外発のファストファッションが売れなかったもうひとつの理由は、サイズが外国人向けだったため。特にそれが顕著だったのは「アバクロ」で、日本人が着ても、「アバクロ」自慢のイケメン店員のようにカッコよくならず、日本市場に参入した09年がピークで、売り上げは下降の一途。鳴り物入りでオープンした福岡店は、CEOのマイケル・ジェフリーズが「福岡に進出すべきではなかった」と語るほどの惨敗を喫し、1年で閉店した。
「日本に参入するまで、アパレル関係者の中で『アバクロ』は海外出張や社員旅行の際のいいお土産だったんです。でも、現地ではよく見えるけど、持って帰ると、たいしたことないと思ってしまう。そして何より高い! Tシャツも他のファストファッションが1,000~2000円で買えるのに、アバクロは4,000円以上しますからね。それに、海外で店に入ったときは、店中にあふれる香水の匂い、大音量のBGM、イケメン店員もお上りさん気分でカッコよく見えるけど、日本だとうざいだけ。お客さんが『買いづらい』と思うのは当然でしょう。最近は演出を控えめにしたようですが、どこまで続きますかね」(某ブランドデザイナー)
アパレル関係者の間では「(撤退まで)いいとこ1年か、もって2年かな?」というのが「アバクロ」に対する評価だ。
老舗の海外発の「GAP」は毎日のようにセールを行い、売り上げ低下を防いでいるようだが、アパレル関係者からすると、延命措置のように見えるという。
「値段を下げられるということは、それだけ原価が低いということです。『GAP』の商品は原産国表示を見るとバングラデシュなどの東南アジアや中東の直営工場で安く作っているんでしょうね。それに、すべて直営店というのも強い。ブランドが直営店以外のお店に商品を卸す場合、日本だと上代(商品価格)の半分ほどで販売するため、利益率はそれほど高くありません。でも直営店の場合、原価を割りさえしなければ、70%オフにしても利益は出ますからね」(某ブランドスタッフ)
しかし、商品を生産している開発途上国の工場における劣悪な作業環境が問題になり、「安い服を作るために苦しい思いをしている人がいるのが悲しい」と、倫理的な観点から「GAP」などファストファッションの購入を避ける人が増えていると、アメリカの男性誌「エスクァイア」は報じている。
そうした批判が出てくるのも、日本でいう「安かろう悪かろう」な商品が、長らく続く不況で目が厳しくなった消費者に、見切りをつけられたからなのかもしれない。果たして、数年後に、日本でどれだけのファストファッションが残っているのだろうか?