H＆Mの店員さんは、全身H＆M製品を着ているんですか？

　気になって仕方がない素朴なギモンを直接企業に聞いてみよう、という本連載。

　以前、ドン・キホーテ渋谷店前にある渋谷のブックファーストでアルバイトしていたことがあるので、あのビルには思い入れがある（現在、ブックファースト渋谷店は半蔵門線にほど近い駅ビルに移動してしまった）。毎日のように、あの場所で本を売っていた身としては、その跡地にH＆Mのビルが建ち、ファッション製品を売っていることに未だに違和感があるのだ。しかし、H＆M渋谷店がオープンして1年以上経ったこともあり、ふと店内に入ってみた。

　爽やかだった。

　商品も店員もライティングも爽やかだった。洋服屋さんだからその爽やかさは当たり前なのだが、買い物する気になれなかった。そこで1つ疑問が。店員さんはH＆Mの製品を着ているのだろうか？　多分、着ているだろう。だが全身を店内にある商品だけでコーディネートしているのだろうか？　爽やかさの秘密を探るためにも、気になって仕方がない。だから「H＆Mカスタマーサービス」に直接聞いてみた。

「H＆Mの店員さんは、頭からつま先までH＆M製品を着なくてはいけないんですか？」

担当者　従業員の服装に関してのお問い合わせですね？　当社では、従業員の服装は自由となっております。

　あっさり解決してしまった。折角なのでもう少し細かい話を聞いてみよう。

――あ、そうなんですか？　でも、店員の方々は、みんなH＆Mの服を着ているような気がするんですが。

担当者　会社としては、特にそういった決まりはなく、一人一人の個性として、自由な格好をさせていただいております。

――例えば、胸元に他社ブランドロゴがプリントされた服を着ていたら、まずくないですか？

担当者　節度を考えてということで、従業員にお任せしております。会社としては、特に指定しておりません。

　「節度」という名の自由があったのか。これで終わるのも忍びないので、もう1つ以前から気になっていたことも聞いてみた。

――そうだったんですね。ありがとうございます。実は、もう一点お聞きしたいのですが、H＆Mの広告に出ているモデルさんって、みんな外国人ですよね？　モデルが外人の方だと格好良く見えている気がするのですが、モデルを日本人にはしないんですか？

担当者　H＆Mのポスターなどのモデルは、全世界で統一しておりまして、そういった事から外国の方のモデルを採用しております。

――なるほど。

担当者　H＆Mはスウェーデンの会社ですので、店舗数もやはりヨーロッパ圏に多くなっております。

――だから、必然的にヨーロッパ圏のモデルが多いということなんですね。アジアにも出店しているので、近いうちにアジア出身のモデルが増えることもあるんですかね？

担当者　はい、今回のポスターにはアジアの方が採用されております。

　やはり日本人が着ている洋服を選びたい。絶対に足の長さが違うし！　外国人モデルに憧れるだけじゃなく、日本人が作る日本人のための洋服を。などと思いつつ、H＆Mで買い物などするわけもなく、本屋からファッションビルに変わってしまったビルの思い出を胸に今日も渋谷を歩くのだった。

　引き続き、皆さんのフレッシュなギモンを募集中です。ディープでインパクトのある、くだらないギモンをお待ちしています。
（酒平民　林賢一）

『外人術―大蟻食の生活と意見 欧州指南編 』

外人さんは驚異ですな

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