アメアパ撤退、アバクロは大丈夫? GAPがいつもセールをしている理由は?
ファストファッション、洋服に興味がない人の間でもすっかり定着した感のある言葉だが、この言葉が生まれたのは、ちょうど16年前の2000年。日本発の「UNIQLO」、日本に定着していた「GAP」をはじめ、「American Apparel(アメアパ)」「H&M」「Forever21」「Abercrombie & Fitch(アバクロ)」、そしてGAP系列の「OLD NAVY」「Banana Republic(バナリパ)」が参入し、“プチプラ”(プチプライス)ブームが起こる。さらに、ファストファッションを着こなすおねえタレントがブレイクするなど、一時代を築いたのだが……。
■薄利多売のビジネスモデルが崩壊
16年現在、そのブームは急速に収束しつつある。5月にGAPが「OLD NAVY」の日本からの撤退、「バナリパ」の大規模閉店を発表。さらに、11月には「アメアパ」が全面撤退を発表し、商品はECサイトでも買えなくなってしまった。
アメリカでビジネスコンサルタントとして活躍する清水ひろゆき氏は、「OLD NAVY」に関し、「一定の客数(パイ)が取れず、薄利多売のビジネスモデルが崩壊してしまった」と自身のメルマガ『顧客を喜ばせる世界の成功企業最新戦略紹介』で綴っている。また、ファストファッションの業績不振は日本に限ったことではなく、一見好調なように見える「H&M」「Forever21」も、アメリカの経済紙は、「ファストファッション自体が、すでにピークを過ぎた」と辛らつに報じている。
しかし、一部のアパレル関係者は、ファストファッションの衰退を「当然のこと」だと受け止めているという。
「確かに『H&M』が参入したとき、一部の古参アパレルの間では、安い価格帯の商品を展開しようかという案も出ていたようです。でも、それをすると、昔から自社の製品を買ってくれていた顧客を裏切ることにもなります。だから、ほとんどのブランドはぐっと我慢して、ファストファッションより高くても、質のいい商品を作り続けてきました。『ファストファッションの売り上げが、それほどでもない』という話は10年頃から出ていて、ここにきて撤退を始めましたが『やっぱりね』というのが、多くの国内アパレル関係者の印象だと思います」(ファッション誌ライター)
また、店頭でファストファッションと自社ブランド製品を見比べてきた某ショップの販売員の女性は、違った意味で「売れるわけがない」と思っていたという。
「商品はもちろん、ショップで大切なのは、店の見た目です。商品を保管するバックヤードは、すごいことになっているときもありますが(笑)。でも、ファストファッションのお店は、品出しが間に合わず、店内に段ボールが出ていることがありました。すぐに隠していましたが、帰ろうとして外に出て、その店の窓を見たら、カーテンの後ろに段ボールが山積みにされていました。表通りからも丸見えなんですよ!? こんな店が長続きするわけないと思っていました」