「an・an」が大泉洋に背負わせた、「大人の男はかわいくあるべき」という十字架
■「“大人の男”アゲ」の裏に隠された、壮大な「“34歳以下の男”ディス」
次に「私たちの惹かれる“大人の男”が持つ、7つの魅力」を見てみましょう。魅力的な「大人の男」が持つ特徴について、2人の識者(歌人・加藤千恵さん、マーケティング評論家・牛窪恵さん)が、ドドーンと見開きで語る記事です。長いのでかいつまんで紹介しますね。
・いざというときに決断力がある。
「若い世代の男性に比べて、単純に選択の経験が多いのもあるでしょうし、以前よりも一昔前のほうが、仕事でもなんでも選択を迫られることが多かったのでは」
・キュンキュンさせる力がある。
「今の20代~30代前半の男性は、コスパのよさを重視して仕事から直帰したり、自宅でネットばかりするなどひとりの世界にこもりがち」
・リスクを恐れない強さがある。
「傷ついたり恥をかくことを恐れる若い男性が増えています。彼らは恋愛でも“引かれたらどうしよう”と思い、リスクを避け、相手を喜ばせることに消極的」
――と、「大人の男」を称賛する記事とみせかけて、女性サイドのことは棚にあげつつ、識者が、34歳以下の読者と同世代の男性をこき下おろすトンデモナイ雰囲気の内容になっています! 主軸の記事がこの調子なので、「大人の男」特集号というのは、消極的で頼りなく感じられる「34歳以下の男」への批判やフラストレーションが裏テーマにあるのでは? と感じずにはいられませんでした。
今号も相変わらず好き放題やってくれている「an・an」。そんな本誌読者に、当事者である「大人の男」が一言モノ申していたので、最後に紹介させてください。
それは特集後半のインタビュー、「おもしろくてカッコよくて、ちょっとコワい!? 加藤浩次という生きざま。」に掲載されていました。加藤さんは「アンアン読者にこれだけは言っておきたいこと」として、以下のように発言しています。
「自分の考えてることがすべて正しいと思うなよ。軽はずみに発信するんじゃねえ! 咀嚼しろもっと! (略)丁寧にいうと、みなさんが気軽に発信することで、傷ついてる男性はいっぱいいるんです。そこはちょっと考えてください。いま、20代30代の男性はどんどん弱くなっているんです。女性がどんどん強くなっているから」
と、雑誌まるごと1冊を使って、「34歳以下の男」そっちのけで「大人の男」を崇拝している編集部や読者に対し、「それではダメだ!」と断言する加藤さんなのでした。どちらが正しいかは置いておいて、本誌の主張と対立したり矛盾したりするようなこういった発言も気にせず掲載してしまうあたりが、「an・an」のお家芸らしくて最高だなと感じる筆者であります。しかしまぁ、男性の抱く夢見がちな女性観に「自分の考えてることがすべて正しいと思うなよ」と感じたことがある女性はきっと多いはず。核心を突くような加藤さんの説教を受け、「大人の男」特集号はどう変わるのか? 来年もぜひやっていただきたいですね! 編集部の方、よろしくお願いします!!
(小麦こねる)