「不寛容な社会」企画の「Domani」に内在する、女たちを縛り上げる厳しい目線
思わず、「ここじゃなくて、ぐっとうぃる博士に話を聞いてもらったら?」と喉の奥まで言葉が出ましたよ。発言小町なら相手にすらされない、ありふれた上に使い古されたお悩みですね。しかし、当事者はとても苦しい状況なのです。今までキラキラ女を貫き、モテにモテてきたけど、年を重ね、そして、綺麗な若い子が次々にやって来るという職場にいるということで、市場価値暴落中なのでしょう。
でも、それを嘆く場はここじゃないよ! 女子アナさんが行く場は、ズバリweb「東京カレンダー」の連載コラム「中の上の悲劇」ですよ。仕事、収入、見た目も中の上の女が抱える悲劇をおいしくアレンジしてくれるあの場所、あなたが輝けるのはあそこだから~! ……と、勝手に当コーナーの担当者になった気持ちでお送りいたしました。
■女性誌こそストレスの入口!
今号の大特集テーマは「この秋、私、優しくなりたい…!」。読み物ページには、「不寛容社会に効く『優しい心の処方箋』」という企画がありました。自分の怒りをコントロールする方法や、「幸せホルモン」ことセロトニンの分泌を促すスムージーのレシピなどが紹介されています。マインドフルネス講師の山口伊久子さんがいうには、ストレスを受け入れることができれば心は穏やかにいられるとのこと。例えば、鏡に映る自分の顔が理想と違っても「今この瞬間に意識を向ける」ことで「ありのままの自分を受け止められるようになっていきます」とのこと。
なるほど……理想と違う自分を受けいれれば、イライラすることもなくなる。確かにそうなのですが、なんだか引っかかる! 女たちに理想像を刷り込んだり、劣等感を煽ったりしているのは、ここにある女性誌だと思うのです。結婚、出産、子育て、美容にファッション……理想を掲げて女を走らせているのは、それこそ「Domani」も同じじゃないか! 「ありのままの自分を受け止める」女性が増えたら、おまんまの食い上げですよ。「ありのままを受け入れる」ことよりも、理想との距離感や諦め方を教えてほしいものです。
ところで、高島彩さんは髪を約30センチ切ってボブにイメチェンしたときの感想を、「“私、やったよ!もう取り返しのつかないことやったよ!!”みたいな爽快感がありましたね。子育て中なのに、赤のマニキュアを塗っちゃった…みたいな(笑)」と語っていました。子育て中に赤マニキュアはダメなのか、と独身女の筆者は驚きでしたよ。だって、どんだけ想像しても、「取り返しがつかないこと」とはまったく思えないから!
高島さんのこういうちょっとした発言も、女たちをギュウギュウに縛り上げて、不寛容な気分に追い込んでいるのでは? 子育て中でも「赤いネイル、かわいいね」と言ってくれる女性誌の方が、女に優しいと思うんですけどね。意外と「Domani」って、優しいポーズだけで心は女に厳しい雑誌ですよね?
(白熊春)