コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

高樹沙耶、石垣島での自然生活に見る“バブルを忘れられない女”の顔

2016/10/13 21:00
高樹沙耶Twitterより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「私の愛人たちです、ウソです」高樹沙耶
『爆報!THEフライデー』(TBS系、10月7日)

 外見、仕事、ライフスタイルなど、目に見える部分を以前とは別のものにすると、たいてい「あの人は変わった」と表現される。しかし、だからといって、人間の根本は変わったとは言えないと、私は思っている。

 人気女優となり、離婚を機に芸能界を引退。フリータイビングを始め、2002年の同W杯で銀メダルを獲得し、コーチを務めていた男性と婚約したが、それを解消して芸能界に復帰。その後は、千葉県の南房総でエコロジーな生活を送っていたものの、最近では石垣島に移住し、大麻の合法化を訴えている高樹沙耶も、そんなケースの1つではないだろうか。

 『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)で、高樹の人生をまとめたVTRを見たことがある。10代で芸能人を目指して上京した高樹は、映画『沙耶のいる透視図』で主演デビュー。この映画はフルヌードになることが条件であったが、高樹にとって、それはチャンスを意味した。以降、高樹は順調に女優としてのキャリアを重ねていく。

 裕福とはいえない環境で育ったこともあり、高樹はお金持ちの男性に興味があった。港区の高級マンションに住み、毎日お金持ちの男性と飲み歩く。彼らは皆、妻帯者だったが、高樹に結婚願望がなかったこともあって、むしろ好都合と思っていた。しかし、遊んでいる時は楽しかったものの、家に帰ると、淋しくて虚しくて仕方がなかったそうだ。ブランド物に身を固めた豊かさより、千葉の自然に囲まれて暮らす今の方が幸せと高樹は語っていた。

 資本主義の中で贅を極めた人が、自然に回帰するという例は多々あるので、高樹もその1人なのだろう。が、私が気になったのは、高樹の「人を使うクセ」である。

 房総で自給自足の生活をしている高樹は、『金スマ』取材班にピザを振る舞う。料理に使う野菜を採りに行ったとき、高樹は隣の畑のおじさんに野菜を採ってもらっていた。また、ピザ生地は自分でこねていたが、釜の火加減を見る人、ピザの焼け具合を見る人は男性で、ピザを焼いている間、高樹はテラスでヨガをしていた。

 つまり、自給自足と言いながら、高樹はほとんどの仕事を人任せにしていたのである。「自然と暮らす」とは、便利を手放し、面倒なことを受け入れるということ。しかし、高樹は便利を手放さない。なぜなら、高樹の代わりに不便を引き受けてくれる人がいるからだ。

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