仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

HKT48・指原莉乃は、本当に「友達がいない」のか? 自虐発言ににじみ出る“生臭い野心”

2016/09/22 21:00
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指原から放たれる生臭さとは?

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「友達にはなりたくない」HKT48・指原莉乃
『今夜くらべてみました』(日本テレビ系、9月13日)

 “友達”という存在に重きを置くのは、男性より女性なのではないだろうか。女性誌や女性週刊誌は、定期的に「オンナの友情の良さ」を説くが、その一方で「オンナの裏切り」も一大テーマである。男性週刊誌や月刊誌で、オトコの友情を特集したものを私は見たことがない。芸能界においても、友達エピソードを披露するのは女性であり、男性芸能人が紹介する交友エピソードは、「先輩が良くしてくれた」というふうに、上下関係に言及する場合が多い。

 ただ、視聴者が“リア充”を嫌う今、「友達がたくさんいる」ことを公言する女性タレントはほとんどおらず、たいていが「友達がいない」「寂しい私生活」アピールに余念がない。しかし、この「友達がいない」アピールが有効なのは「誰がどう見ても人気者」なタレントのみである。恋愛スキャンダルで左遷の憂き目にあうものの、AKB48選抜総選挙で前人未踏の3冠を成し遂げたHKT48・指原莉乃は、数少ない「友達がいない」アピールが“決まる”タレントだろう。

 9月13日放送の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)では、「友達ほぼゼロ女」として、シンガーソングライターの柴田淳、元モーニング娘。の石川梨華、タレントの水野裕子がゲスト出演した。「友達ほぼゼロ」と銘打っているものの、石川は「家族さえいれば満足」、水野も特定の友人とほぼ一緒にいるという“狭く深い”人間関係が好みだといい、柴田も「ただただ寂しい女」と紹介され「友達がほしい」とは言っていなかったので、「友達がほぼゼロ」な現状に満足していないのは、「友達、全然いないですよ」「友達ほしいです」と公言するMCの指原だけである。


 「友達がいない」ことの信憑性を高めるためだろう、指原は「卒業アルバムの最終ページが白紙だった(誰からもメッセージを書いてもらえなかった)」「何かの間違いでボーリングに行くはめになり、投げた後、振り返るのが怖い(友達がリアクションを取ってくれない)」という、ゲストの上を行く「友達がいない」実体験エピソードを披露していた。「友達がいない」ことは、一般的には“非リア充”のカテゴリに属する話で、友人関係に悩む若い視聴者には、心の支えとなるのかもしれない。

 しかし、この番組の「友達が全然いない」アピールをする指原に対して、私が抱く感想は、「野心がすごい」「生臭い」である。

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