「動物への愛情だけではない」ビジネスとして見る、“生体販売をやめたペットショップ”のあり方
動物愛護の観点から、人とペットがどう暮らしていくかを考えるこの短期連載。第1回の記事では、ペットブームは架空であり、実際の飼育数は年々減っていること、そしてその背景には、ペットのブランド化が関係しており、現状を正していくためには「まず生き物に値段をつけること自体をやめるのが、そのきっかけになるのではないか」とお伝えした。
そんな中、ペットショップでありながら生体販売をやめた店があるという。ペットの販売をやめても、経営は成り立つのか? 動物愛護とビジネスを結びつけることは可能なのか? 岡山市にあるChouChou店長、澤木崇さんにお話を伺った。
■ペットショップに至らず、命を落とす動物も
――まず、ペットの販売をやめた理由を教えてください。
澤木崇氏(以下、澤木) 2015年1月にやめるまでは、生体販売をする業者がショップ内にテナントに入る形で、動物を売っていました。日本では「ペットを飼いたい」と思ったら、ペットショップでお金を払って買うものと考えるケースがほとんどですよね。しかし愛護団体の方たちと知り合い、「保健所などには、捨てられて、新しい飼い主が見つからないまま殺処分されてしまう子たちがたくさんいる」と聞くようになりました。生体販売をすることで、こうしたひずみを生むのであれば、ちょっと考えを改めようと思ったんです。犬を家族として迎えたい人と、飼い主を探している犬を結びつけることを、業界の中からやっていこうと。
――殺処分ゼロを達成したと謳っている行政もありますね。
澤木 保健所に至る前に死んでしまう命がどれだけあるのか、それはほとんど表に出てこない数字なんです。流通の途中で死んでしまう子犬は少なくありません。
本当は、まだ母親や兄弟たちと一緒に生活しないといけない月齢の子を引き離して、ケースに入れて、トラックや飛行機で搬送するんです。母親の元でなら生きられた子も、そういう過酷な環境を辿ったがゆえに死んでしまう。最近はペットショップも、ブリーダーを開拓して直接取り引きしているところが多いですが、関東や関西といった首都圏には、ペットの市場があり、全国展開しているような店は、市場でドサッと100頭くらい買って帰るらしいです。
――まるで野菜市場のようですね。
澤木 自分たちの「生体販売をしない」という活動を通して、こういう業界に提言したいと思っているんです。保健所には、殺処分が近づいている子たちがたくさんいますが、それを引き取って救ってあげるのは、これまでずっとボランティアさんや動物愛護団体の方でした。でも彼らがいくら努力をしても、蛇口が閉まらなければ、殺処分問題にはキリがないんです。