カルチャー
「待機カット」という仕組みが

月20日働いて東京の半額程度 華やかさとはほど遠い「地方キャバ嬢」の厳しい生活

2016/09/15 15:00

■夢を追って掛け持ちでキャバクラ勤め

パティシエを目指してキャバクラと掛け持ちするまいさん

 キャバクラで働いていても、生活が厳しいのは、みづきさんのようなシングルマザーだけではない。

 まいさん(仮名・21歳)はパティシエの夢を持って、専門学校を卒業後、和歌山から神戸へ出てきた。スウィーツレストランでパティシエの見習いの仕事も決まり、神戸市中心部から少し離れたアパートで1人暮らしをしている。パティシエの月給は手取り17万円程度。ボーナスはなく、家賃や生活費、独立資金のための貯金を引くとほとんど残らないので、夜はキャバクラでバイトしている。「時給3,000円~!週1から働けます!」と書かれた求人を見て入店したが、現実は厳しいものだった。

「3,000円というのは、週4日以上出勤、営業時間オープンからラストまで働ける、レギュラー出勤の時給でした」

 まいさんのパティシエの仕事は朝8時から夕方5時。キャバクラは夜8時から深夜2時までの営業なので、そこから送迎を使うと家に着くのは深夜3時過ぎになってしまう。まいさんは朝が早いため、終電までしか働けない。週3日、オープンから終電までの勤務で、店側から提示された時給は2,300円。それでも1日4時間は働けるので、生活の足しくらいにはなるだろうとはじめは思っていた。しかし、店が暇だと早上がりさせられたり、女の子の出勤が多いという理由で、出勤を削られる日が続いた。結局、実際にまいさんが働けた時間は、週1日で3時間ほどだった。

「レギュラー出勤のキャストは新規の客につくけど、私みたいに掛け持ちのキャストは、レギュラー客のヘルプにしかつけさせられません」

 新規客をつかむことはおろか、ヘルプ回りばかりで営業をかけることもできない。最近ではシフトを入れても、店側から「女の子が足りない日だけ連絡する」と言われる日が続いている。ほかの店に移ることは考えないのか、と筆者が問うと、「ノルマも、遅刻や当日欠勤などの罰金もないし、何よりお給料が全額日払いでもらえるからラクなんですよね」と、まいさんはつぶやいた。

 華やかに見えるキャバクラ嬢たちも、「子どものため」「将来の夢のため」といった事情を抱えて働いているケースが少なくない。その上、地方では、地域間の賃金格差などが深刻度を増しており、昼間の仕事だけに専念したくてもできない。都心から離れた夜の蝶たちの闇は広がるばかりだ。
(カワノアユミ)

最終更新:2016/09/15 15:00
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